自分から提案できる技術者に
配水・浄化施設や空調衛生設備などを手掛ける太平洋設備(本社・釧路市、小茄子川充社長)で設計・積算を担当しているのが土木水道事業部・技術センター主任の川端望さん。

川端望さん
羅臼町出身の川端さんは高校入学を機に釧路市へ。体を動かすことが好きで高校時代は陸上に熱中した。卒業後は札幌社会体育専門学校社会体育ビジネス学科(当時)に入学し、コーチングなどを学んだ。卒業後は苫小牧市でスポーツジムのトレーナーやスイミングコーチを務める日々を送ったが、けがが原因で退職。出身地に近い釧路市で職探しをしていたところ、父と太平洋設備の前社長に面識があったことが縁で事務職として1996年に入社した。
1年ほどたったころ、上司に設計などの資格取得を提案され、技術者の道へ。同社の積極的な資格支援制度という後押しもあり、給水装置工事主任技術者、排水設備工事責任技術者のほか、2010年には1級管工事施工管理技士を取得するなど果敢に挑戦した。
現在は水道工事の設計・積算業務に従事し、現場調査も欠かさないベテランだが、業務に慣れるまで5年ほどかかったという。「書類提出のたびに修正部分を指摘され、落ち込むことが多かった」と当時を振り返りながらも、「自分に知識が付き、ステップアップしていけること」が仕事を続けていく原動力となった。現在は外部から仕事の指名を受けるほどの実力派。「担当現場の作業がスムーズに進行しているとうれしい」と話す。
現場第一主義の建設業界は男性社会のイメージが強く、女性進出に後れを取っているのが現状。企業説明会に参加したときには、女性見学者に自分の仕事をアピールしており、「釧根管内で活躍する女性技術者が増え、地域の業界を盛り上げていけたら。実際に現場を見てもらい、業界のイメージを変えていきたい」と業界の活性化を目指している。
上司の三沢学土木水道事業部長は「スピードと正確さが求められる中で、迅速に対応できる人材。技術者としてレベルが高い」と太鼓判を押す。社内では若手社員のお母さん的存在として相談に乗ることも。。
今後の目標は「工法・資材などの勉強を続け、自分から提案できる技術者になりたい」と目を輝かせた。
取材メモ
趣味の家庭菜園ではミニトマトが豊作だったという。フィットネストレーナー、レクリエーションインストラクターの資格を持つ。
川端望さん(かわばた・のぞみ)1975年3月26日生まれ、羅臼町出身。札幌社会体育専門学校(現・北海道スポーツ専門学校)卒。
(北海道建設新聞2019年10月24日付9面より)