札幌市は、丘珠空港利活用の方向性を示す将来像の素案を明らかにした。今後10年を期間に旅客増への対応や医療、防災分野の活用を見据え、1年を通じジェット機を安定運用できる機能強化を掲げた。実現に向け、国や事業者に対する滑走路延伸や駐機場、連絡通路、格納庫の増設要望、空港ターミナルビルと航空機をつなぐ搭乗橋の設置を盛り込んだ。引き続き検討を進め、2019年度内の成案化を目指す。
30日に開いた第1回札幌丘珠空港利活用検討委員会(委員長・石井吉春北大公共政策大学院客員教授)に示した。
今後、検討会を3回開くほか、11―12月に6回のオープンハウス(職員常駐型パネル展)、20年1月に市民ワークショップをそれぞれ開き、市民の意見を幅広く聞く。これらを反映し将来像をまとめる。
丘珠空港[MAP↗]は国土交通省と防衛省の共用空港。道内7空港の運営一括民営委託や、30年度の新幹線札幌延伸に伴う観光客の増加など空港を取り巻く環境が大きく変化している。このため、利活用側の市は将来像の検討を進めてきた。
素案では、こうした変化を踏まえ「道内航空ネットワークの拠点空港」と位置付け、ビジネスや生活路線の維持・拡大とともに、観光需要も受け入れる広域拠点化や、医療、防災を見据えた1年を通じた機能発揮を掲げた。
実現に向けた今後10年の取り組み方向には空港機能の強化や、都心部と空港を結ぶ交通機関など冬期間の空港アクセス充実、路線拡充、民間活力の導入などを盛り込んだ。
具体的には冬季も安定してジェット機が運航可能な滑走路延長を要望するほか、利便性やバリアフリー化に伴う機能強化、空港ビルへの商業施設誘致の検討などを示した。
委員からは「10年後の事業化では企業は魅力を感じない」と早期の実現を求める声や、「防災や医療拠点としての機能を充実させ、市民・道民の生活を支えることが最優先」と通年ジェット化を求める意見があった。
(北海道建設新聞2019年10月31日付12面より)