深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 北海道防錆防食協会防(つつみ)の会 森博幸会長

2019年11月11日 12時00分

森博幸会長

人材育成が重要な課題

 鋼橋塗装工事の企業で構成する北海道防錆防食協会傘下の防(つつみ)の会は、5月に設立した次代を担う若手組織だ。初代会長の森博幸氏(札幌・宇佐美商会部長)に、業界の現状や課題などを聞いた。

 ―防の会とは。

 現場の最前線に立つ管理技術者を中心に19社29人で構成する。年齢構成は20代から50代までと幅広い。

 過去、北海道鋼橋防錆協会という団体の下に青年防錆技術会(青防)という若手の組織があった。多いときで50人ほどのメンバーだったと聞く。だが公共事業の縮小などから、北海道鋼橋防錆協会は2005年で解散した。

 この後、北海道防錆防食協会として16年に復活。「主体性を持った防錆防食事業の経営と技術を担う次世代の人材育成が喫緊かつ重要な課題」と親会が考え、次代を担う若手組織も再始動した。

 ―取り巻く事業環境をどう見るか。

 北海道開発局の塗装工種を対象とした橋梁塗り替え工事は件数・発注額ともに年々減少し、02年度は60件だったが近年は1桁となり、15年度は1件もなかった。塗り替え需要はあるものの他工種での補修の一部に取り込まれ、下請け工事となる傾向が強まっていたため。その危機感から北海道防錆防食協会を設立し、業界団体として声を上げることにした。

 管理技術者の視点で見ると、元請けと下請けでは得られる知識や経験が違う。元請け工事だと発注機関の対応を含め、仕事の進め方や管理方法など幅広くノウハウを得られる。逆に下請け工事では得られるものも限定的になる。これでは技術者は育たない。

 ―事業量は。

 徐々に増加傾向にある。業界団体をつくった効果もあって、元請けとしての工事発注は段々と増えてきた。

 環境保全の観点からも塗り替えの必要性は高まっている。環境省は1966年から73年までに造られた橋梁について、ある特定の塗料に有害物質のPCBが含まれていた可能性があるとして、調査の実施を通知している。北海道鋼橋防錆協会や防の会も適切に対応していかなければと思っている。

 ―担い手対策について。

 ここ数年、各社とも新卒は少なく、中途採用がほとんどと聞く。昔の3Kイメージが根強いのだろう。確かに現場へ出ると大変な部分もあるが、必ず後世に残さなければならない重要な仕事だと思う。道内橋梁の老朽化は著しく、塗り替えを含めたメンテナンス需要は今後も堅調に推移すると考えるからだ。

 自分のやったことが目に見えて残る仕事なので、やりがいは大きい。個人的には、10年度から4カ年で手掛けた厚岸大橋補修工が印象に残っている。会発足で業界内の横のつながりが深まったため、若い人にも認知してもらえるよう活動の幅を広げたい。

 ―今後の抱負を。

 橋梁の現場見学会を9月下旬に実施した。設備の種類や置き方、足場のかけ方で非常に勉強になった。1企業では他社の現場を見る機会はつくれず、業界団体としての意義をあらためて感じた。

 来年3月には、ホテルに缶詰めになって勉強する1泊研修会を予定している。「よい経験になった」と語り継がれている青防を見習い、親睦だけの組織にはしたくない。(聞き手・佐藤 匡聡)

 森博幸(もり・ひろゆき)1971年11月、札幌生まれ。92年宇佐美商会入社、2018年から営業部部長を務める。趣味はゴルフと学生野球観戦。自身はサッカーのディフェンダーとして青春時代を過ごしたが、息子の入部をきっかけに今は野球派。

(北海道建設新聞2019年11月8日付2面より)


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