深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り ミャンマー建設事業者連盟 テッ・リン副会長

2019年11月18日 10時00分

テッ・リン副会長

日本に人材輩出したい

 11月11―14日、本道の建設技能者の育成方法を学ぼうと、ミャンマー建設事業者連盟(MCEF)の代表団が来道した。長く軍事政権下にあった同国は2011年に民主化してから堅調な経済発展が続き、今では「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれる注目国だ。本道と同国の協力関係の展望について、連盟のテッ・リン副会長に聞いた。

 ―MCEFはどのような団体か。

 ミャンマー全土の建設会社や資材メーカー、関連機材の貿易会社など約3000社でつくる業界団体だ。人口最大の旧首都ヤンゴンや、06年に首都になったネーピードーなど主要エリアに地方組織を置いている。

 ―今回の来道目的は。

 われわれはミャンマーで建設業の職業訓練校を開設したいと考えていて、日本の人材育成システムを学ぶために渡航した。構想を実現させるため、さまざまな組織に支援を要請するのも目的の一つ。今回は鈴木直道知事や岩田圭剛北海道建設業協会長を表敬訪問し、協力を訴えた。

 ―構想する職業訓練校はどのようなものか。

 当面、日本の建設会社への技能実習生として、われわれがしっかり訓練した人材を送り込むことを目指している。今の技能実習では、残念ながらごく初歩的な日本語能力も習得せず、かつ建設業の知識をほとんど持たない人材が一定割合を占める実情があると聞く。ミャンマーの場合、訪日する実習生が渡航前に受ける教育期間はおおむね3カ月程度。教育に1年から2年かけて、語学でも建設業の知識でも優秀といえる人材を出せるようにしたい。

 ―日本向けに特化して大がかりな施設を造ろうとするのはなぜか。

 ミャンマーにはスーパーゼネコンをはじめ多くの日系企業が進出していて、昔から日本とのつながりが深い。国民の年齢構成上、ミャンマーは若者が多いが、全般的にはまだ経験が浅いのが現実。若者たちが日本流の高い技術に触れてレベルアップすれば当然自国のためになる。同時に、外国人材を確保したい日系企業にとってもメリットだ。日本の技能実習で働いたミャンマー人が、母国に戻って指導役に回るのが理想的なパターンだ。

 ―連盟として人材教育の実績はあるのか。

 連盟の本部がヤンゴンにあり、ここの会議室を使ってミャンマー国内で働く人材を育成するための短期研修プログラムを実施している。だが今回の構想では、新首都に5(約2万m²)の敷地を確保して、学生寮を備えた教育施設を新設、運営する。過去の学習実績などに応じた複数の履修コースを設け、1コース当たり150人程度の受講者を受け入れたいと考えている。

 ―今回はなぜ北海道での視察を選んだのか。

 職業訓練校構想に関し、3年前にヤンゴンに拠点を構えた建設会社、誠和工業(本社・札幌)をパートナーとしているので、まずは北海道との交流を深めたい。今回の滞在では道の職業能力開発施設「札幌高等技術専門学院」などを視察した。建設現場で働くためのノウハウを生徒に細かく丁寧に教えていて、大いに感銘を受けた。

 ―ミャンマーの建設市場はどんな様子か。日本企業が関わる利点は。

 すでに日系企業が数多く入居している「ティラワ経済特区」の拡張工事をはじめ、全国各地でスマートシティ、高層ビル、複合商業施設など無数のプロジェクトが進行中だ。ミャンマーは今後さらに発展する国で、今から市場に入っておくのは日本企業にとっても大きなチャンス。第一歩として両国間の人材交流を深めたい。道内建設業者にも、ぜひミャンマーの建設人材に関心を向けてもらいたい。(聞き手・吉村 慎司)

 テッ・リン 1963年8月ヤンゴン生まれ。84年ヤンゴン大卒(地質学学士)。98年に建設会社T.Z.T.Mコンストラクションを設立。2018年からミャンマー建設事業者連盟副会長。

(北海道建設新聞2019年11月15日付2面より)


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