タナカコンサルタント(本社・苫小牧)などは18日、「ユウフツ越え美々舟着き場跡」の記念碑設置を祝い、苫小牧市内の美沢川河川敷地で除幕式を開いた。ユウフツ越えの調査や研究に携わった田中稔顧問、市の五十嵐充教育長ら計30人が参加し、先人の偉業をたたえた。
北海道が蝦夷地と呼ばれていたころ、勇払を起点に太平洋と日本海を結ぶ「ユウフツ越え」と称される内陸の交通路が開かれていたといわれている。舟で勇払川をさかのぼり、ウトナイ湖、美々川、美沢川を経由して陸路で千歳に入り、千歳川を経て石狩川に至るルートだ。
新千歳空港の整備に伴い、1992年に道埋蔵文化財センターが調査した「美々8遺跡低湿地部」からは、松浦武四郎が記述した美々舟着き場跡が見つかり、木製品や丸木舟などが出土。一帯が交通の重要な拠点として機能していたことが実証されている。
ただ、ユウフツ越えの歴史を証明する美々舟着き場跡は新千歳空港内の滑走路がある場所で、立ち入ることができない。そこで近隣の36号沿線で市が管理する美沢川の河川敷地に説明を記した碑を設置することにした。
アルミ製で幅1・2m、高さ2・1m。同社と苫小牧郷土文化研究会が整備した。
田中顧問は「皆さんから知恵を頂き、ちょうど良い場所に設置することができた」と感謝。「皆さんにこの場所に重要な歴史があったことを知ってもらえれば」と力を込めた。
五十嵐教育長は「苫小牧の先駆けは先輩諸氏がつないだ太平洋と日本海を結ぶ道があったため」と述べ、「多くの人々が市の歴史に触れるきっかけになれば」と期待した。(苫小牧)