中国市場に挑む ~大連・瀋陽リポート~

 高層ビル・マンション群が立ち並び、至る所に建国70周年を祝う横断幕や国旗が掲げられている―。

 10月8日から12日まで北海道中小企業家同友会国際ビジネス研究会主催の中国経済視察研修に同行した。海外の投資や技術を受け入れながら、世界第2位の経済大国に発展を遂げた中国。その巨大市場に挑戦する日系企業と、成長続ける中国企業の現状を取材した。

(この連載は経済産業部の富樫茜が担当しました)

中国市場に挑む~大連・瀋陽リポート~(2)樫山が第2工場を稼働

2019年12月03日 14時00分

オーダーメードスーツ事業開始

 アパレル大手・オンワードホールディングスの中国子会社、樫山(大連)有限公司は4月、大連の経済技術開発区内で第2工場の稼働を開始した。

 日本では、アパレル業界を取り巻く環境が厳しさを増している。百貨店での売り上げは減少傾向。同社は新たな挑戦をしようと、オーダーメードスーツ事業を始めた。ブランド名を「KASHIYAMA the Smart Tailor」とし、第2工場はオーダーメードスーツ専用の縫製工場となっている。

 受注と運送に3日、製品仕上げに4日充て、最短1週間で顧客に高品質なスーツを届ける。主な販売対象地域は中国と日本、米国だ。

多くの生地と色見本の中から好みに合わせて注文する

 大連はもともと縫製業が盛んなため、手先が器用で人材確保に困らないという利点がある。従業員は第1、第2工場合わせて約540人で、ほとんどが女性。労働環境や保険制度が充実し、10年以上勤務する人も多い。

 初回はガイドショップで30分―1時間かけて採寸・打ち合わせをする。データは即日工場へ届き、熟練した職人の手作業とIoT技術などの組み合わせで最短納期を実現し、他社との差別化を図っている。

 ロボットが生地のピッキングや裁断を担う。裁断したパーツは、工程を管理するためのRFID用のタグが付いた専用ハンガーにセットし、ラインで各工程へ自動で流れるため、服の状態が一目で分かる。

 ウールの特性で、湿度が含まれると伸び縮みすることから、一定の状態を保つため空調設備に気を配っているという。

 袖付け工程は時間を要することから、ミシンの台数を増やして対応。ポケットの位置やボタンの数などの印、着心地を左右する袖裏地などは職人が手作業で付けている。各工程には、青いTシャツを着たリーダーを置く。最終検査で着丈や袖丈に数ミリ単位の差が生じ、基準に達しない製品は再び製造現場に戻す徹底ぶりだ。

 完成したスーツは、機械で圧縮パック梱包(こんぽう)。日本で開封すると、湿度を吸ってしわがなくなり、着られる状態になる。コンパクト化することで、運びやすさも向上する。

 現在は1日当たり200着のオーダーを受けているが、2倍の400着を目標に掲げる。

 スーツを着る風習は中国のビジネスマンの一部に限られるが、国際化で普及が見込める。富裕層がターゲットだ。日本のものへの信頼は厚く、一度着ると気に入って再注文する人もいるという。

 生地により異なるが、価格は紳士スーツで3万―8万円程度と、中国のデパートで注文するのに比べ約半分。修理なども無償で請け負い、2回目以降の注文はインターネットで可能だ。

 統括技術部の池畠良治部長は「中国にはオーダーメードスーツの文化がないため、今後広がりを見せることが期待できる」としている。

(北海道建設新聞2019年11月13日付3面より)


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