中国市場に挑む ~大連・瀋陽リポート~

 高層ビル・マンション群が立ち並び、至る所に建国70周年を祝う横断幕や国旗が掲げられている―。

 10月8日から12日まで北海道中小企業家同友会国際ビジネス研究会主催の中国経済視察研修に同行した。海外の投資や技術を受け入れながら、世界第2位の経済大国に発展を遂げた中国。その巨大市場に挑戦する日系企業と、成長続ける中国企業の現状を取材した。

(この連載は経済産業部の富樫茜が担当しました)

中国市場に挑む~大連・瀋陽リポート~(3)大連マイカルが商機に

2019年12月04日 14時00分

市場分析で売場リモデル

 東北地方最大の小売業者である大商集団が経営するニューマートの地下1階食品売り場と、麦凱楽(マイカル)の2カ所を訪れた。大連駅から近く、利便性が高い。ニューマートは低価格路線、マイカルは高級路線をとっている。かつて日本のマイカルが関わっていたことがある。

 ニューマートの海鮮コーナーには、カエルやスッポンといった中国ならではの食材が並ぶ。日本のようにマグロなど刺し身の品ぞろえも充実。夕飯時の店内は多くの人でにぎわっていた。

 オーストラリアの牧場を買い付け、オージービーフを販売。目立つ広告が設置され、販売に力を入れている様子がうかがえた。

 マイカルの食品売り場は、買い物動線の中心にイートインを置いたり、店内を明るく仕上げるといった工夫を凝らす。経営する回転ずし店は20年前からある。1人120―130元(約2000円)と単価は高いが、常連が付くほどの人気ぶりだ。

 集合レジではなく「島レジ」となっているため、顧客が必要以上の物を買わず、個人単価が低いことを課題として挙げる。化粧品のフロアでは、全30ブランドを展開。年間の売り上げは3億元(約46億円)にも上る。

 大連マイカル総店の初川晃副総経理は「日本の百貨店はまず顧客のことを考える。中国はブランドから入る。これが大きな違い」と説明する。

 売り上げ分析をすると、中心顧客である50代以上は洋服、若年層は化粧品を購入していることが分かった。何を購入したいかアンケートをした結果、最も多かったのは化粧品で80%。どの年代でも総じて70%以上の数値を記録した。

 年代別で差が見られたのは洋服だ。20代には50%しか需要がなかった。意外にニーズが高いのは靴。そこで化粧品を購入しに来た客を誘導しようと、靴売り場の改装を日本のデザイン会社に依頼した。

化粧品の広告が目を引く大連マイカルの外観

 化粧品を求める顧客を「美の追求者」と呼び、未来顧客に位置付ける。現状顧客層、子ども服を購入するファミリー層と、3つの層を軸にリモデルを進める方針だ。中国はこうした細かな市場分析をすることを苦手としていて、結果を伝えると、中国人トップが感心を寄せるという。

 中国国内のネット通販利用率は、小売業全体の20%近くを占める。しかし、客単価が上がらず、頭打ち感が見られる。一方で消費者は、よりいいものを求めて百貨店に足を運ぶ動きも見せている。

 2017年の1人当たりのGDP推移を見ると、上海の07年の水準に各都市が追い付いてきている。大連の平均賃金は、年間8万元(約120万円)ほど。北京や上海は年間12万元を超えるが、近年急激な成長を見せている。

 初川副総経理は「上海などに比べ、人件費や土地代が安い。伸びてくる地域だと思うので、商機を見いだしたい」と意欲的だ。

(北海道建設新聞2019年11月14日付3面より)


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