深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り ぐるなび北海道営業所 梶原貴博所長

2019年11月22日 10時00分

梶原貴博所長

他社との連携積極的に

 飲食店情報サイト運営のぐるなびが、訪日外国人観光客向けの多言語サイト「LIVE JAPAN」の運営に力を入れている。2018年7月には北海道版を立ち上げ、道内の飲食店や宿泊施設、名所などの発信を開始。掲載契約店を順調に増やしている。北海道営業所(札幌)の梶原貴博所長に事業の概要や展望を聞いた。

 ―外国人向けサイトはどのようなものか。

 日本の飲食店をはじめ宿泊施設、観光スポットの情報、食事の作法といった基礎知識について、日本語のほか英、中国(繁体字と簡体字)、韓国、マレー、タイ、インドネシアの各言語で発信している。一部の店は渡航前の予約にも対応している。

 16年春に東京版からスタートし、2地域目の北海道に続いて今夏関西版、秋に東北版も追加した。利用者数は右肩上がりで、ことし10月の月間利用者数は過去最高の約480万人だった。直近1年間では延べ4200万人以上に使われている。

 ―本道版「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE HOKKAIDO」は開始から1年4カ月。現在の掲載件数は。

 最近700件を超えたところだ。飲食店に関しては通常の「ぐるなび」サイト加盟店にオプションとして提案しているが反応はよく、今後も順調な伸びを見込んでいる。当社は契約店向けに4言語対応のメニュー制作代行も手掛け、こちらも好評だ。来道外国人の増加が追い風になっているのは間違いない。

 ―ぐるなび本体の本道加盟店数は増えているか。

 入れ替わりはあるが安定的に推移している。拡大していないのは当社や北海道に限ったことではなく、外食市場全体の厳しさを反映している。少子高齢化が進む上、消費者の可処分所得を取り合う意味でコンビニエンスストアのような他業態、スマートフォン関連消費なども脅威になり、先行きは決して楽観できない。そんな中、外国人の増加がもたらすプラス効果は本道外食業界にとって計り知れない。

 ―梶原所長と北海道の縁は。

 出身は仙台で、昨年4月に着任するまで接点はほとんどなかった。本道の外食市場については、本州の府県に比べて東京のチェーン店の勢力が弱く、地元経営の店が頑張っている印象を受けている。味やサービスの面でもレベルは高い。

 ―4代目所長と聞いたが、営業所は開設からどれぐらいたつのか。

 01年春開設なので当地での歴史は18年以上になる。飲食店情報サイトとしてのぐるなびのスタートは1996年だが、株式会社として発足したのは2000年で、すぐ翌年に営業所を設けた。

 道内のぐるなび加盟店のうち約3分の2が札幌中心部にあり、今は約15人体制で営業に回っている。一方で、距離の遠さもあって地方都市へのアプローチが十分でないのも事実。ニセコ地区をはじめ外国人客が増えている地域もあり、今後の課題と認識している。

 ―ぐるなびのサービス開始はインターネット普及期で、今では環境が違う。ビジネスモデルも変化しているのでは。

 近年は他社との連携に積極的だ。例えば今では世界最大の旅行サイト、トリップアドバイザーからぐるなびにリンクして店の予約ができる。楽天やグーグル、インスタグラムといった有力サービスとも連携を始めた。加盟飲食店のネット予約獲得を少しでも増やすため、さまざまな方法を研究している。(聞き手・吉村 慎司)

 梶原貴博(かじわら・たかひろ)1978年6月仙台市出身。2006年7月ぐるなび入社。18年4月から北海道営業所長兼北海道東北セクション長。

(北海道建設新聞2019年11月21日付2面より)


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