ネット通じロシア高度人材と本道企業が就職面談

2019年11月25日 10時00分

働き手不足緩和へ

 本道の働き手不足緩和の鍵を握るのが外国人労働者だ。技能実習生受け入れが急増する一方で、専門技術を持つ高度人材の雇用も拡大している。日本での就職を希望するロシアの高度人材と本道企業を結び付けようと、北海道経済産業局が20日、インターネットで日ロ両拠点をつないで就職面接イベントを開いた。

 「皆さんはどんな技術を勉強してきましたか」―20日夜8時すぎ。就労支援施設のジョブカフェ北海道(札幌市)内で、札幌のソフト開発会社、リッジワークスの長野篤志社長がパソコン画面に話し掛ける。

ロシア人が本道企業とのネット面談に集まった

 画面の向こうはロシアで人口第3位、札幌の姉妹都市でもあるノボシビルスク市だ。現地時間は夕方6時すぎ。学校や会社が終わったタイミングで面談会を設定した。現地会場のパソコンの前に数人並んだロシア人から、「金属構造の専門知識があります」「セキュリティーソフト開発のエンジニアです」などそれぞれの答えが返ってくる。

 長野社長が自社の取り組みや人材採用への考えを説明すると、現地の通訳者がロシア語に訳し、参加者が聞き入る。参加者が話すのは人によって日本語、英語、ロシア語などさまざま。質疑を経て、1回25分間のグループ面談が終了した。面談は計4回。リッジワークスは合計20人のロシア人に、自社についてプレゼンテーションした。

 ネットと並行して、現地会場では直接の面談も実施した。建築設計の一寸房(札幌)、AI開発の調和技研(同)、流通系システム開発のイークラフトマン(同)からそれぞれ社長が渡航。ブースを構え、同様に4回のグループ面談を通して自社をPRした。

 参加者と企業は互いにプロフィルや就労条件などの資料を事前に受け取っている。面談を経て、関心を持った企業、人材に印を付けて事務局に提出。相互に関心ありとする組み合わせがあれば、企業側から連絡をする仕組みだ。

 札幌会場のリッジワークスも参加者リストの数人にチェックを入れた。長野社長は「総じて人材のレベルが高く、採用を検討できる人が何人もいた。彼らの話をもっと聞くためにもう少し時間があればなおいい。当社は外国人材の雇用を始めたところで、ロシアからの採用も積極的に考えたい」と話す。

 イベントはキャリアバンクが経産局から事業委託を受け、ロシアビジネス仲介のFECマネージメント(札幌)やノボシ市役所の付属機関「シベリア北海道文化センター」の協力で実施した。

 同センターが事前にITや建築の専門人材、また日本語学習者の参加を募集。履歴書の提出は、20代から30代を中心に計44人に上った。同センターは会場のホール提供、通訳者の手配などでも協力している。

 札幌会場にはシステム開発のノーストーチ(札幌)も来場した。オブザーバーとしての参加だったが、ノボシ側参加者からの希望を受けて急きょ斎藤一郎社長がネット面談に応じ、IT業務に関して意見交換する場面も見られた。

 経産局の藤田真理子国際課長は「教育レベルが高いロシアは高度人材の多い地域。イベントを通して、北海道での就労に興味を持つ人が多いことも分かった。本道企業との人材交流を今後も後押ししたい」と話している。

(北海道建設新聞2019年11月22日付2面より)


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