ロードマップ組んで機能向上
管理の都市計画から集約の立地適正化計画に踏み込む名寄市を支援した北大大学院工学研究院の森傑教授。道内の市町村は「人間に例えると、若い頃に暴飲暴食し太った結果、自重を支えられず体を痛めて走れない60歳。そこでどうダイエットするかがこれからの時代。ただ体重を落とすだけでは体力は戻らない。脂肪を減らし内臓を整え、もう一度走れる体を目指すのが立地適正化計画」と話す。
名寄市の都市計画マスタープラン見直し案・立地適正化計画案説明会で、両計画のアドバイザーを務め計画趣旨を解説した。
都市計画はそもそも人口増加時代に街の無秩序な拡大をコントロールする手段。立地適正化計画は、人口減少時代に合うよう街を集約するため目標の姿を定めるものと分類する。名寄市は1960―95年に人口集中地区が広がった一方、総人口は減少。集中地区といっても「極端な話、タワー型マンション3つで収まる」ほど低密度で、市は駅前エリアに誘導区域を絞り選択と集中を図った。
他の市町村でも計画策定を支援する。割合多いのは「現状の都市計画区域がほぼ誘導区域という自治体。その中で、名寄市は思い切った計画案でまっとう。本来の趣旨に沿っている」と評価。成案のめどが立ち「ここまでは大抵できる。これからは、最初に肝臓か心臓かと、どの機能を高め、どのぜい肉を落とすという話。ロードマップをしっかり組まねば、無理なダイエットで結局は体を壊す。そこに注力を」と念を押す。計画期間が39年度までと長く、社会変化に対応する柔軟性、部署を横断した組織体制による一貫した実行力も期待した。(旭川)
(北海道建設新聞2019年12月2日付8面より)