地元木材で流木発生を抑制 鵡川支流に捕捉工設置

2019年12月11日 12時00分

 胆振総合局と胆振土木協会、苫小牧広域森林組合は5日、むかわ町穂別豊田地区の道有林内で試験施工した簡易流木捕捉工を公開した。高耐久性処理を施した地域材を活用。流木捕捉式ダムなどの設置が難しい比較的小規模な渓流で、流木発生抑制などに期待されている。

ホロカンペ川に設置した簡易流木捕捉工。地域材などを活用した

 胆振管内では、昨年の北海道胆振東部地震で大規模な林地崩壊が広範囲で発生し、流木被害が懸念されている。

 官民協働プロジェクトとして、胆振総合局が企画立案。胆振東部地震や大雨で発生した危険木が堆積している鵡川支流のホロカンペ川に、苫小牧広域森林組合が木材を提供し、胆振土木協会が11月28、29の両日に木製流木除け1基を設置した。

 延長10m、構造高2・37m、地上高1・5mで、福田組が施工。バックホーで掘削後、現場代理人の門村博文第一工事課長ら5人が現地で採取した石を中詰めし、組合の専門工場で、厚真、安平、むかわの地震被災3町産のトドマツに高耐久性処理を施したO&Dウッド190本を組み立てた。

 コンクリートを打設せず、丸太をボルトや針金でくみ上げるため、施工期間の短縮が可能で簡易に設置できる。O&Dウッドは、30年は腐らないと推定されている。

 胆振総合局などは今後、大雨や雪解け時に流木の捕捉効果や施設の状態、耐久性などを検証する予定だ。

 同総合局の二本柳寿紀林務課長は「地元の漁協や町と情報共有を図りながら、効果的にデータを活用し流木災害対策に生かしたい」と意欲を示す。

 苫小牧広域森林組合の小坂利政代表理事組合長は「山の木は山に返そうという信念を持っている。環境のためにも可能な限りコンクリートを使わず、木で工事してもらいたい」と話している。(苫小牧)

(北海道建設新聞2019年12月10日付9面より)


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