方向性巡り議会で賛否
小樽市が公共施設再編計画案の提出延期を決めたことを受け、開会中の第4回定例市議会代表・一般質問で、再編計画関連の質問が相次いだ。議論が拙速との批判がある一方、市民合意の難しさに理解を示す声も聞こえ、議員間でも評価が分かれている。19日に公共施設再編に関する調査特別委員会が開かれる。市は2020年第1回定例市議会への計画案提出に向け、まずは議会に理解を求める考えだ。
公共施設再編計画は、個別施設計画(長寿命化計画)の基本方針として活用する。3定市議会前に素案を発表し、市役所を含む対象施設39施設について、統廃合などの方向性を示した。しかし、その後の市民意見交換会で賛否が分かれたため、予定していた計画案の提出を12月から20年3月に延期した。
市が議論を急いだ理由は、国が個別施設計画の策定期限を20年度末としたため。今回の延期で、再編計画の策定作業は3カ月延長するが、個別施設計画策定までは残り1年3カ月と変わりない。
4定市議会では自民党、公明党、立憲市民連合、共産党の4会派と、無所属議員1人が再編計画に関して質問。策定スケジュールについて迫俊哉市長は「第1回定例市議会で計画案を提出後、パブリックコメントを実施し、第2回定例会で決定した計画を報告する」と述べた。
小樽商高や産業会館、市民プール、総合体育館など個別施設についても再編理由などをあらためて説明した。
現有施設を全て残した場合、今後40年間に必要な更新費用の年平均額は139億円を試算。将来の財政負担を取り除き、同時に施設の老朽化を解消するには、機能集約などで総量削減を図ることが必要不可欠だ。
市民サービスに直結し、まちづくりの根幹を左右する話題で、賛否が分かれることは想定内だが、議論の時間はあまり残されていない。今後は最大公約数を探っていく作業となるが、2年目の迫市長の行政手腕と決断力が試される。(小樽)
(北海道建設新聞2019年12月13日付15面より)