釧路開建は18日、釧路空港17側進入灯橋梁老朽化対策の現場を公開した。全国でも数少ない高さ45mにもなる橋梁型進入灯が施工対象。付近で飛行機が離着陸する環境の中、高所作業の安全に配慮しながら塗装塗り替えなどの工事を進めている。
釧路空港滑走路北側に位置する17側進入灯橋梁[MAP↗]は、1985、89年に整備された橋梁591mの7径間トラス式鋼橋。建設から35年が経過し、塗装の剥離などが進んでいたため、老朽化対策として塗装塗り替えの実施を決めた。滑走路側のP3、P4橋脚と橋梁部分のうち2径間、159mを対象としている。

着陸態勢の飛行機と足場がかかった進入灯
空港が丘陵地に位置することから、進入灯の橋脚はP4で14階建てのビルに相当する45mの高さに達する。同開建によると、この高さの進入灯橋梁を有しているのは釧路空港のほかは広島、高松空港だけだという。
受注者は旭川建装で、工期は来年2月まで。工事概要は橋梁部と橋脚部の部分塗装塗り替えのほか、土留め壁の擁壁コンクリート補修や台座コンクリート補修など。
施工箇所が高所であるほか、既設塗装を剥離した際の粉末や塗装剤が外部に漏れないよう足場をコンパネで覆うことから、釧路労基署への強度計算書提出や足場設置などに要した期間は合計4カ月に上った。

足場内では部分塗装作業が進められている
合計1500カ所以上となる橋梁、橋脚の塗装には、空気と水が鋼材に触れるのを防ぎ劣化を最小限にできる超厚膜エポキシ樹脂塗料を採用。海風も吹くため、下塗りから上塗りも含めて5層の塗装で塩害を抑制する。
現場代理人を務める安藤博之工事次長は「塗装膜は鉛を含有しており、防じんマスクを使用するほか、エアシャワーやクリーンルームの設置など安全対策を徹底している」と説明。さらに塗装剤などの飛散防止として、足場を囲うコンパネにシートを貼り付けている。
また、現場が高所にあり、強風が吹くと危険を感じるほどの横揺れが生じることから、風速次第で作業中止を判断するなど、状況に合わせた対応を取り、安全確保に努めている。