深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り MASSIVESAPPORO 川村健治社長

2020年01月06日 12時00分

川村健治社長

外国人の滞在環境重要

 インバウンド増加による本道での宿泊・滞在施設ニーズの高まりを受け、主に空き家や空室を利活用する民泊、シェアハウス、無人ホテルが注目されている。こうした施設のプロデュースや運営代行を手掛けるのがMASSIVE SAPPORO(マッシブサッポロ、本社・札幌)だ。川村健治社長(41)に業界事情を聞いた。

 ―フロント業務をテレビ通話で済ませる無人ホテルが話題を呼んでいる。

 1月に1号施設を開業したところ、さまざまな媒体に取り上げられ、幸い引きが非常に強い。企業から、自社ビルの空いている何室かを活用したいといった問い合わせもいただく。民泊もシェアハウスもそうだが、遊休不動産を再活用することの社会的ニーズを感じている。

 ―起業は2010年で最初のシェアハウスを開いたのが翌春。現時点の道内事業実績は。

 手掛けるシェアハウスは札幌を中心に13施設で、合わせて200人近い入居者がいる。運営する民泊施設は約220室。無人ホテルは約40室が稼働している。

 従来の不動産業者は、住宅やオフィスが古くなればアパート・マンションへの建て替えを提案するばかりだった。当社は改装によるさまざまな選択肢を示し、かつ、改装後の施設運営もできる点で強みがある。

 ―起業のきっかけは。

 東京で不動産関係の会社に勤めていたとき、浅草でシェアハウス生活を体験したのが契機になった。入居者が60人もいて、仕事も性格も国籍もバラバラという刺激的な日々。こんなライフスタイルを札幌にもつくりたいと独立起業した。道内にシェアハウスの事業者はほとんどいなくて、施設数を増やしながら独自にノウハウを蓄積した。

 ―その後18年に「民泊新法」が施行され、解禁された民泊のプロデュースにも乗り出す。

 その数年前から、海外で利用者数を急速に伸ばす民泊仲介サービス「Airbnb」などの情報が入ってきて、日本でも民泊がビジネスになると確信していた。解禁されたとき当社はシェアハウスの運営経験があり、外国語のできる社員もそろっていて、スムーズに参入できた。

 ―宿泊施設運営で、本道ならではの難しさはあるか。

 繁忙期と閑散期の差の激しさだ。宿泊単価のブレや、社員の業務量の問題もあって今でも悩まされる。それから凍結対策なども首都圏にはないコスト高要因だ。経営の難易度は決して低くない。さほど競合が増えていないのも、そのあたりに理由があるかもしれない。

 ―外国人に関わる事業が増えているようだ。

 今後経済成長する国がたくさん控えていて、旅行客の増加は長く続くだろう。それだけでなく、人口が減る日本では、働き手としての外国人の存在感も高まる一方だ。

 今は外国人を雇うと、慣れない土地で1人暮らしをさせる、または同胞だけで固まって生活させる実情があり、彼らが日本社会になじめない原因になっている。近い将来、外国人社員の住まいとして、日本人も外国人も暮らす企業主導型シェアハウスが増えてくるとみている。今の日本は外国から、旅行先として人気があっても、働きたい国とは思われていない。外国人の滞在環境を良くするビジネスは、日本の将来のためにも重要だ。(聞き手・吉村 慎司)

 川村健治(かわむら・けんじ)1978年札幌市生まれ。総合不動産デベロッパーのプロパストなど東京での勤務を経て、2010年11月、札幌でMASSIVE SAPPOROを設立。

(北海道建設新聞2019年12月27日付2面より)


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