運河や防波堤など土木遺産も構成文化財に
小樽市は日本遺産登録に必要な歴史ストーリー案などをまとめた。単一自治体による地域型の申請で、タイトルは「北海道の心臓と呼ばれたまち小樽 民の力で創(つく)られ、よみがえった北の商都」。構成文化財は、旧手宮鉄道施設や小樽港北防波堤など36件の有形・無形文化財を挙げた。道教育局を通じて、24日に文化庁に申請書を提出する。
7日に市役所で開いた日本遺産推進協議会(会長・迫俊哉市長)で明らかになった。日本遺産認定は、複数自治体にまたがるシリアル型と単一自治体による地域型に分類。小樽市は、すでにシリアル型で「北前船寄港地」と「炭鉄港」が認定を受けていて、今回の地域型で3つ目の認定を目指している。
申請には、市全体の歴史ストーリーと構成文化財一覧、認定後の地域活性化計画が必要で、同協議会のワーキンググループを中心に2019年3月から原案の取りまとめを進めていた。
歴史ストーリー案では、港と鉄道で栄えた小樽市の歴史を現存する建築物などで紹介するほか、日本銀行小樽支店や旧三井銀行小樽支店などがあるビジネス街区[MAP↗]を近代建築の博物館の側面でも注目。このほか、広井勇氏や中島鋭治氏などが手掛けた大型土木構造物[MAP↗]、市民が保存運動を主導した小樽運河[MAP↗]も構成文化財に加えた。
地域活性化計画案は、総観光客数が19年度比で10万人増、宿泊客延べ数が6万人増をそれぞれ想定。建設関連では、主要拠点への多言語案内板新設、建築士事業協会と連携した未調査文化財調査・研究、歴史的建造物の修繕補助などを盛り込んだ。
(北海道建設新聞2020年1月9日付11面より)