全道的に少雪の今冬、帯広市内の降雪量が、平成最少となった昨年を下回るペースで推移している。市外を見ても農地には雪がなく、舞い上がった砂ぼこりが高速道路を一時通行止めにしたほどの少なさ。除排雪を担う地元維持業者の負担は大きく、「こんな冬が2、3年続くと厳しい」「仕事がなくなると人材不足に拍車を掛ける」と嘆息を漏らしている。
帯広市によると、直近5年の新雪除雪出動が平均5・6回であるのに対し、今期の市街地における除雪出動はいまだゼロ。降雪は9回あったが、出動基準に満たず、作業は滑り止め散布にとどまっている。農村部でも一定量が降った地域で数回しか出動していない。
降雪量が平成最少となった昨年も12月と2月に各1回しか出動しておらず、市の除雪費が前年比52%減になるなど除排雪業者にとっては頭の痛い冬が続く。
帯広市の米沢則寿市長は「一度も除雪しないのに費用を払うのかという指摘もあるが、補償がないと機械や人員など除雪体制の維持が困難になる」としており、「環境が変化する中で持続可能な仕組みづくりは必要。市民にも納得してもらえる形を業者と協議していきたい」と除雪体制の維持に努めていく考え。
また、実際に除雪に当たる帯広市除雪安全連絡協議会の萩原久司会長(東日本冨士新道路社長)は「年明けも除雪がないのは初めて。ただ、いつでも出動できる体制をつくらねば」と話す。
市外を含め国道や道道の維持を担う業者にとっても厳しい状況だ。帯広開建道路維持連絡協議会と帯広建管維持ネットワーク協議会の会長を務める高堂匠美高堂建設社長は、2月以降に適度な降雪があることを期待する一方で不安も感じている。「昨年は除雪スタッフの雇用を守るため、工事現場の雑務などをこなしてもらい会社が補償を出したが、ことしも同じ状況になるかもしれない」と指摘する。
十勝管内の除雪車ドライバーの平均年齢は50代。高齢に加え、少雪で仕事にならないことを理由に離職が増え、降雪時の体制がつくれなくなるという懸念もある。「われわれは地域の人命や経済活動を守るために道路を維持している。人材不足はそれができない理由にはならない」と維持業者としての責務を果たす思いは強い。しかし自然環境の変化も肌で感じており、「除雪が将来にわたってもできるのか、企業として生き方を模索しなければならない」と話している。
(北海道建設新聞2020年1月20日付13面より)