鳥取城跡の橋を特殊工法で復元 ものづくり日本大賞優秀賞

2020年01月23日 12時00分

楢崎製作所グループが開発した二相ステンレス鋼橋梁技術

 第8回ものづくり日本大賞の優秀賞に、道内から楢崎製作所(本社・室蘭)など企業グループの「社会インフラ整備に新しいソリューションを提供する二相ステンレス鋼橋梁技術の開発」が選ばれた。鳥取城跡の内堀をまたぐ擬宝珠(ぎぼし)橋[MAP↗]の復元工事で採り入れた技術。水中に二相ステンレス鋼の梁を架け、その上に木造橋を乗せるという日本初の工法や施工技術力が認められた。

 同大賞は経済産業省など4省が主体となり、ものづくりの第一線で活躍する個人・グループの功績を部門ごとに表彰する。8回目は応募308件の中から45件を選んだ。楢崎製作所の技術者らは鳥取市の推薦を受けて応募し、伝統技術の応用部門で優秀賞の受賞が決まった。

 二相ステンレス鋼は、フェライト相とオーステナイト相を半々で組織した鋼。じん性や強度、溶接性に優れる特長がある。標準的なオーステナイト系ステンレス鋼に比べ割れにくく、高い耐食性も特長だ。

 海水など塩化物を含む湿潤環境での使用に適している。海水を利用する化学工業プラントの熱交換器で多く使われ、海外では石油ガス採掘時の油井管などでも用いられている。

 一方で高温用途には適さない弱点を持つ。このため熱処理や溶接には注意が必要で、高い技術力が求められる。

二相ステンレス鋼を活用し復元した擬宝珠橋

 擬宝珠橋は江戸時代の1621年に最初の橋が完成して以来、複数回の架け換えや修繕を重ねている。管理者の鳥取市は2023年を目標に、城跡の正面玄関に当たる大手登城路を幕末の姿に復元する計画を進めていて、この一環として同橋を明治時代に架設されていた木橋に復元する方式で架け換えることにした。

 架け換えに当たっては、堀底に残る3代69本の木橋の遺構を抜かずに保全する必要があった。そこで1963年に架設したRC造の既存橋を撤去。残ったコンクリートの基礎を利用し、遺構をまたぐ形で水中に二相のステンレスの梁を渡し、復元した木造の橋を乗せるという日本初の特殊工法を導入することにした。

 復元工事は鳥取市が発注し、戸田建設が受注。このうち楢崎製作所は水中梁を製作、木橋部分はモクラボ(本社・兵庫県姫路市)と下請けの平山工務店の2社が技術力を発揮。橋は2018年9月に竣工した。

 楢崎製作所の羽生純司計画部資材工務課長は「初めての事例だったため問題点を検証し、社内で知恵を出し合いながら進めた」と振り返る。「摩擦がない水中施工ということもあって、橋梁製作メーカーの協力を受けて実験を重ね、寸法の精度を1㍉台まで厳しく管理した」という。

 受賞について「若手の育成や技術をPRするきっかけになれば」とし、「歴史的な遺構を残しながら復元が伴う場面で技術を生かしたい」と見据えている。

 受賞式は経産局主催で3月にも札幌市内で開催する予定だ。

(北海道建設新聞2020年1月22日付3面より)


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