走り出したSDGs~建設業が取り組む意味

 昨今、かけがえのない地球環境を守り多様性と包摂性のある社会の実現に向け、SDGs(持続可能な開発目標)への実現に取り組む企業が増えている。道のSDGs推進ネットワークの登録団体463社・団体のうち、建設業は60社近くあるが、まだ多くに認知されているとは言えない。建設業がSDGsに着手する意義について報告するとともに、道内で先進的に取り組む企業を紹介する。(6回連載します)

走り出したSDGs~建設業が取り組む意味(2)岩田地崎建設

2020年02月04日 16時00分

目標設定へ議論重ねる 水田で環境保全活動展開

 岩田地崎建設(本社・札幌、岩田圭剛社長)は、2019年7月にSDGsへの取り組み方針を示したサスティナビリティレポートを発表し活動を本格化させた。

社員らは毎年、環境保全活動の一環として
岩見沢市にある水田で田植えや稲刈りに取り組んでいる

 同社では、次世代へ受け継がれる安心・安全な社会の構築と人と自然が共生する「調和のとれた未来づくり」に貢献することを目的に、18年1月に準備会を立ち上げ、そこでの検討を基に同年5月にSDGs推進委員会を設立した。

 委員会では目標や具体的な活動内容を決めたほか、社内での意識付けや社外への広報を進めやすくするためサスティナビリティレポートの作成も進めた。

 レポートを見ると、目標は大項目が「公正な企業活動」や「社会貢献・地域貢献」「生物多様性」「持続的な技術の提供と災害復旧活動」など6つの課題を設定し、これらの課題に対して17のKPI(重要業績評価指標)を設けた。

 公正な企業活動の項目ではコンプライアンス研修実施件数を年2回以上、BCP(事業継続計画)の災害対応訓練を年1回以上などとした。快適な職場環境の実現に関しては、21年度末までに4週8閉所を目指し、現場配属を希望する女性技術者の現場配置率100%など環境整備を推進する。

 生物多様性の項目では、代表的な環境保全活動として14年から実施している「緑の水田プロジェクト」を盛り込んだ。生物多様性の保全や米の消費拡大を目的とした。CSR(企業の社会的責任)活動で、現在も社員やその家族らが田植えや稲刈りに取り組んでいる。

 「持続的な技術の提供と災害復旧活動」では地域の街並みとにぎわいを創出することを目的にまちづくり再開発事業に参画し、人口減少や高齢化・都市のスプロール化などの多くの課題解決と快適な住環境の創出で貢献を目指す。

 具体的、定量的な目標を設定したのが特徴的だが、その目標設定が難しかったという。社会問題を解決するべく理想とする目標を設定するのが基本だが、高い目標で最初から達成困難と分かれば活動意識が低下する一方、目標が低すぎると活動そのものが形骸化する恐れがある。このため委員会では理想と現実とのバランスを取ることに議論を重ねた。

 委員会の事務局長を務める環境ソリューション部の伊藤俊裕部長は「難易度は初年度ということもあり達成可能な目標設定を意識したので『やや難』といったところ」と評価する。

 伊藤部長はSDGsの17の目標のうち17番目の『パートナーシップで目標を達成しよう』が「SDGsにとって一番重要ではないか」と指摘する。「自分たちでできることはわずかだが、みんなで力を合わせれば大きなことができる。そういう風にパートナーシップを強める流れは社内でも一緒」と話し、SDGsを通じて社員一人一人が一丸となって活動することが自然に会社の活性化につながっていくと考えている。

(北海道建設新聞2020年1月17日付1面より)


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(この連載は、建設・行政部の大坂力、函館支社の鳴海太輔、網走支局の出崎涼、苫小牧支社の乙部真貴子が担当しました)

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