走り出したSDGs~建設業が取り組む意味

 昨今、かけがえのない地球環境を守り多様性と包摂性のある社会の実現に向け、SDGs(持続可能な開発目標)への実現に取り組む企業が増えている。道のSDGs推進ネットワークの登録団体463社・団体のうち、建設業は60社近くあるが、まだ多くに認知されているとは言えない。建設業がSDGsに着手する意義について報告するとともに、道内で先進的に取り組む企業を紹介する。(6回連載します)

走り出したSDGs~建設業が取り組む意味(4)レアックス

2020年02月06日 16時00分

目的は社員の働きがい 途上国で水不足問題解決

 地質調査や調査機器の研究開発などを手掛けるレアックス(本社・札幌、成田昌幸社長)がSDGsに取り組む背景には、会社の事業承継があった。成田社長は、創業者が引退し2代目に就任した際に社員の求心力が気掛かりだったという。今まではトップが社員を引っ張ってきたが「2代目になると経営理念や企業スタイルに共感を持ってもらわないとならない。組織に付いてくる体制をつくれないか」と考えていた。

 その考えは、企業の存在意義を再定義するという「パーパス」を重視した経営を目指すことに至った。社員がその意義に共感することで働きがいを見いだすのが狙いだ。その頃にSDGsの理念を知り、自社の事業活動を振り返ると企画や製造、調査、営業、総務など全ての部門がSDGsの17の目標に当てはまった。SDGsが存在意義の再定義に最適な手段だと気付いた。

ボリビアで自社開発のカメラを使った井戸診断を実施。
適切な処置につながり住民の生活用水の維持管理に貢献した

 同社では17の目標のうち9つを選定した。このうち「水・衛生」の目標に該当する事業として、開発途上国の水不足問題の解決に取り組んでいる。南米のボリビアでは、JICA(国際協力機構)の中小企業・SDGsビジネス支援事業として自社で開発した高機能カメラによる井戸の診断を展開。以前は井戸の内部の状態が分からなかったため、渇水すると新しい井戸を掘るという「使い捨て」が起きていたが、カメラで内部の詳細を把握することができた。その結果、目詰まり部分の洗浄など適切な処置が可能になり既存の井戸を再び使えるようになった。

 「教育」の目標に向けては、防災教育や地質調査業界の認知を目的に、子ども向けの科学系イベントに参加。学校の企業訪問も積極的に受け入れている。その際に参加者に体験させているのが、自社のボアホールカメラで撮影した画像をVR(仮想現実)に活用した「アースダイバー」。まるで自分がボーリング孔や井戸に潜り込んだような体験ができるプログラムで、もともと研究者向けに開発したものだがVRの人気が高いことから業界の一般的な認知を広めるツールとしても活用している。

 成田社長は、2021年までにSDGsを社内に認知させることを最初の目標にしている。本格的に取り組みを始めて1年がたつが、社内の変化について「会社が目指している方向の理解度が上がった。会社の存在意義を共有できるようになり、それが働く意欲にもつながっていると思う」と指摘する。

 SDGsの取り組みを深化し企業価値を高め、ゆくゆくは競合相手がいない新領域に事業を展開するブルーオーシャン戦略を進めたい考えだ。海外進出を視野に入れ、既にベトナムの現地会社と業務協力したり、ロシアのノボシビルスク市にある地質研究所と共同研究を進めている。「国内ではイノベーションを起こすのはかなり難しい。中小企業は市場展開として外に出て行って活躍するべきだ」と意気込みを語っている。

(北海道建設新聞2020年1月22日付1面より)


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(この連載は、建設・行政部の大坂力、函館支社の鳴海太輔、網走支局の出崎涼、苫小牧支社の乙部真貴子が担当しました)

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