走り出したSDGs~建設業が取り組む意味

 昨今、かけがえのない地球環境を守り多様性と包摂性のある社会の実現に向け、SDGs(持続可能な開発目標)への実現に取り組む企業が増えている。道のSDGs推進ネットワークの登録団体463社・団体のうち、建設業は60社近くあるが、まだ多くに認知されているとは言えない。建設業がSDGsに着手する意義について報告するとともに、道内で先進的に取り組む企業を紹介する。(6回連載します)

走り出したSDGs~建設業が取り組む意味(5)そうけん

2020年02月07日 16時00分

社員の目的意識を喚起 地域貢献で清掃活動に力

 そうけん(本社・網走、中村圭社長)は、土木、設備、維持、環境、下水道の5つの事業部門を設置し、「地域の暮らしの基盤をつくり、守り続ける」「安心して暮らせる未来を子どもたちに残す」という目標を掲げて事業や地域貢献活動を展開している。SDGsに取り組む背景には、社員が事業などに目的意識を持っているか懸念していたからだ。SDGsを導入することによって社員一人一人が目的意識を持ち、新たな事業展開も期待できることから取り組みを開始した。

 2018年9月から導入に向けた議論を開始。当初は、目標設定について難しく考えていたという。大手事業者が井戸掘りなどの国際的な事業活動を挙げているのを見てハードルの高さを感じていたが、SDGsを知っていく中で、清掃活動などの地域貢献もSDGsの実現につながっていることを知った。中村社長は「自分たちができる範囲の目標を設定することが大事。まずは地域から北海道、日本、それが世界の活動につながる」と語る。

 同社では17の目標のうち13項目を設定。特に持続可能な生産消費形態の確保に向けて清掃活動に力を入れ、05年から国道や道道の清掃を展開している。また、同社では網走市の下水処理施設の維持管理を担っていることもあり水問題に対する思い入れは強い。目標の一つとした「海洋・海洋資源の保全、持続可能な形での利用」に対しても積極的に関わる。濤沸湖がラムサール条約登録湿地と指定されたのを機に北浜白鳥公園で清掃活動を展開。ペットボトルなどのプラスチック製品を取り除き、湖や川、海への流入を防ぎ、海洋生物への悪影響を防止したい考えだ。

自社でSDGsのロゴ入りビブスとのぼりを作製し、
北浜白鳥公園で清掃活動に取り組んでいる

 近年、SDGsを導入する企業が増える中、社員への周知・意識付けが課題となっているが、同社では会社の総会にSDGsカードゲームワークショップ「SDGs de 地方創生」公認ファシリテーターの高橋優介氏を招き、講演会を開催。なぜSDGsが世界に必要なのか、そしてSDGsによってどのような変化や可能性があるのかを体験的に理解するカードゲームを実施し、社員一人一人が同事業への理解を深めた。全社員にホイールバッジを配布し、スーツや作業服への着用を促進。日頃から意識付けをしている。

 社員への意識付けは行動に表れ始めた。自発的に現場の安全掲示板にSDGsの取り組み内容を張り付け、地域住民にSDGsの取り組みを認識してもらおうと努力を続けている。

 中村社長は、「17の目標のうち17番目の『パートナーシップで目標を達成しよう』が重要」と話す。同社では海に流入するマイクロプラスチックの問題解決を図るなど持続可能な開発を視野に入れた事業活動を構想するが、「このような社会課題に対しては一企業で実施していても意味をなさない。企業や行政、市民団体などが手を取り合い、一緒に活動することが大事」と、解決に向けて多様な人材や団体が連携する必要を強調する。

(北海道建設新聞2020年1月23日付1面より)


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(この連載は、建設・行政部の大坂力、函館支社の鳴海太輔、網走支局の出崎涼、苫小牧支社の乙部真貴子が担当しました)

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