造園も土木も両方できる〝二刀流〟が夢
馬淵建設(本社・岩見沢)に昨年春に入社した北川捺希(なつき)さんが奮闘している。同社に初めて造園系の技術職として入った女性で、岩見沢市内ではまだまだ珍しい女性技術者に周囲も期待を寄せている。(空知支社・塩原 歩記者)
岩見沢農高環境造園科を2019年3月に卒業。造園の世界へ進んだきっかけは3年生の春ごろ学校の先生に勧められたこと。もともと庭造りなどの実習や体を動かすことが好きだったため迷いはなかったという。3年生の秋にインターンシップで造園や土木工事を手掛ける同社を訪れ、「働いている社員さんの様子を見ていると、笑顔の人が多くて雰囲気がいいなと思って入社を決めた」という北川さん。入社からこれまでに春はカラスの巣の除去や冬囲いの撤去、夏は同社が指定管理している公園の草刈りや樹木の剪定(せんてい)などの維持、秋は樹木の冬囲いと、季節に応じた作業に従事する。
ただ、この業界に入ることに最初は両親や祖父からは理解を得られず、反対していた祖父からは「絶対に続かないぞ」と言われたこともある。
「仕事内容がいつも違うので慣れるのは大変だけど、作業員さんたちが優しくしてくれる。冬囲いの仕事は楽しかった。生きている木の冬囲いは初めてだったけど、作業員さんから〝おまえが一番きれいにできている〟と言われたのがすごくうれしかった」と笑顔を見せる。
扱う樹木はそれぞれ特徴があり、冬囲いひとつ取っても剪定の仕方や囲い方もそれぞれ。しかし、慣れない北川さんのために周りの社員や作業員が「この木はなんでしょう?ヒントは女性の名前みたいな名前の木です」などとクイズ形式で樹木について教えてくれるという。
ことしの秋には20歳になる。1年の仕事の流れをようやく経験した中、今は身近にいる先輩の書類整理などの処理能力に感心したり、これからは工事現場にも行ってみたいと気合十分。将来的には造園も土木も両方できる〝二刀流〟が夢で、土木施工管理技士の資格も取りたいと意気込む。北川さんの姿にこの仕事に反対していた祖父も「飽きっぽい捺希がよく続けてるな」と見方も変わってきたようだ。
同社の久保隆社長も「捺希には期待している。まだ入社して1年だが、これから10年先、20年先を見たときに下に後輩を入れたりしたい。岩見沢市役所に打ち合わせなどで行くときも、〝馬淵建設は女性を入れている〟と注目もされるし、発注者も期待していると思う。女性だけでなく、男性も含めて若い人を入れていきたい」と話している。
(北海道建設新聞2020年2月8日付10面より)