深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 札幌地方石油業協同組合 河辺善一理事長

2020年02月25日 09時00分

河辺善一理事長

災害時、インフラの砦に

 ハイブリッドカーや低燃費車の普及で石油業界は市場規模が縮小している。道内の給油所数はピークの1995年で3050カ所あったが、足元では1800カ所余りに減少した。札幌市内のガソリンスタンド業者で組織する札幌地方石油業協同組合の河辺善一理事長(札幌河辺石油社長)に業界事情を聞いた。

 ―業界環境の変化について。

 1987年から規制緩和が進み、96年の特石法(特定石油製品輸入暫定措置法)廃止でガソリンや灯油、軽油の輸入自由化となった。98年はセルフ式ガソリンスタンドが解禁となり、価格競争が一層激しくなった。

 石油のマーケットはどんどん小さくなっている。景気に影響されているほか、自動車の燃費が良くなっているのが理由。節約志向が広がり、無駄な走りを控えるドライバーも多くなった。コスト削減から法人客も燃料消費にシビアになっている。

 ―事業者側の対応は。

 やめたり、今後やめようと考えている会社は多い。マーケットは大きく伸びる見込みがなく、後継者がいないのも要因だ。都市部なら店を畳んで土地を売れば楽に生活できる。地方はそうはいかない。

 ―自社の対応は。

 当社は1949年に設立した。ピークで8店舗あったが、今は3店舗を運営している。石油元売りのリース店舗は営業料が高く、採算を取るのが難しい。消防法から老朽化した地下タンクは更新対策が定められ、維持費がかかるのも理由だった。

 今までは店舗を何軒持っているかが業界のステータスだったが、それにこだわっているから赤字で会社が大変になる。売上高は30億円強が20億円弱と縮小したが、利益は少し増えた。利幅が良くなり業績は改善している。

 本社も中央区から白石区に移転した。元々は社宅で使っていた建物だが、使う社員が少なくなり本社事務所として改修した。

 ―石油以外の商売について。

 ガソリンスタンドは石油販売のほかに、洗車やタイヤ、オイル交換を手掛けている。最近はハイブリッドカーや電気自動車が増え、昔のようにエンジンルームを点検できなくなった。だが、ガソリン車はこの先5年、10年走ると思うため、しっかりサービスを提供したい。

 ―昔より価格競争がなくなったのは。

 石油元売りが減ったのが大きい。最盛期は出光興産、昭和石油、シェル石油、日本石油、三菱石油、九州石油、共同石油、ゼネラル石油、エッソ石油、モービル石油、三井石油、大協石油、丸善石油、キグナス石油、太陽石油と15社あった。今はJXTGエネルギーと出光興産、コスモ石油、キグナス石油、太陽石油の5社のみ。大手3強の時代では競争原理は働かない。

 ―石油販売業者が生き残る道は。

 スタンド業界はコンビニ業界にお株を奪われた。過去、ガソリンスタンドは全国津々浦々に6万カ所ほどあったが、どんどん撤退し、今は3万カ所ほどになっている。片やコンビニは各地の隅々にあり、地域の防犯拠点や銀行業務の一部を担っている。

 石油元売りも販売業者も、顧客の方を見ていなかったのが原因だ。もっと地域と密着しなければならない。当社は白石区で密着するよう本社を移し、区内3店舗に集約した。災害時、石油はインフラの最後の砦(とりで)となることを忘れてはならない。原点回帰することが大切だと思う。

(聞き手・佐藤 匡聡)

 河辺 善一(かわべ・ぜんいち)1947年12月、横浜市生まれ。70年に立教大を卒業し、プラント施工の甲陽建設工業(現レイズネクスト)へ入社。77年に家業の札幌河辺石油に入り、82年から現職。

(北海道建設新聞2020年2月21日付2面より)


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