エゾシカ生体捕獲で都市型「囲いわな」試行

2020年02月25日 15時00分

石狩鳥獣被害対策協が現地検討会

 石狩地区鳥獣被害対策広域協議会は、エゾシカの生体捕獲に関する現地検討会を18日に札幌市内で開いた。トラックなどの大型車両が入れない森林内や農地での設置を想定し、囲いわなは軽トラックでの運搬を想定した作りに改良。生体運搬用の箱を荷台に載せ、クレーンを使うことなく効率よく捕獲できるようにした。最近は餌不足などからエゾシカが住宅街に下りてくるケースが散見されるほか、農業や林業への被害も深刻化していることから都市型の捕獲方法のモデルケースとして実用化が期待される。

砕石場内を移動するエゾシカの群れ

 囲いわなは、南区にあるハラダ産業の札幌砕石事業所内に設置した。周辺に鹿が100頭ほどいて、施設緑化で植樹しても苗木がすぐに食い荒らされるため、同社では対策として2018年度から協議会の実証試験に協力している。

 獣害防止柵などを手掛ける未来のアグリ(本社・札幌)のパネル式囲いわなをベースに、内側をベニヤで覆うことで光が入らないよう製作した。光があると、捕らえた鹿が出口と勘違いし、ぶつかったり飛び越えようとしたりして傷みやすいためだという。

 4㌧トラックが入れなかったり、積載型クレーンが使えない森林や農地でもスムーズに生体運搬できるよう、軽トラックを使用した捕獲方法を想定。わなに軽トラックを横付けして一気に運搬箱に収容するため、追い込み部には荷台の高さに合わせたスロープを設けた。

軽トラックでの運搬を想定して開発した都市型の囲いわな

 呼び込みやすいよう、入り口の幅は扉2個分を設けた。うち片方の扉の上部には特殊なマジックキーを設置。真下から引っ張る力には強いが、横から引っ張る力には弱い鍵だ。センサーで片方の扉が落ちるとテグスが横に引っ張られ、もう片方の扉が連動して落ちる仕組み。高度なセンサーを使わなくても、大きな開口部を安価に設けることができる。

 囲いわなは幅5・6m、奥行き11・2m。施工性に優れた連結式で、丸1日あれば取り付けられる。ベニヤは36枚を使用した。

 協議会の我満嘉明会長は「どんどん進化しているため、これからも知恵を貸してほしい」とあいさつ。施設を見学した道立総合研究機構環境科学研究センターの上野真由美主査は「鹿は行動が盛んで、1頭の鹿が及ぼす影響は農業、林業、市街地と多岐にわたる。逆を言うと1頭を捕獲することで、さまざまな被害の軽減につながる」と説く。

 19年度は雌を対象とした仕組みだが、今後は大きな角を持った雄も対象にする予定だ。追い込み路を二股にし、雄と雌で選別して収容する考えを持つ。

 囲いわなを考えたシンカン(本社・当別)の向井正剛社長は「軽トラックに運搬箱を積み、流れ作業で捕獲すれば低コストで済む。山間部など特殊な地形に対しても十分対応できると考え、一層改良したい」と話している。

(北海道建設新聞2020年2月21日付3面より)


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