札幌駅南口北4西3地区市街地再開発準備組合は、JR札幌駅前の中央区にある北4西3街区一帯の再開発計画について、商業施設や高級ホテルなどが入る地上200m超えの複合ビルを構想していることが25日、分かった。総事業費には1000億円以上を見込んでいる。現在、同組合は2023年の開発着手を目指し、施設のデザインやビルのフロア割り当てなどを協議しているもよう。ことし春からは、事業化に向けて環境アセスメントを実施する予定だ。
複数の関係者によると、これまでの会合ではビル構造として45階建て、高さ230mとすることが、一つの案として挙がっているという。地権者らが必要とするフロア割り当てや環境アセスメントの結果などを勘案し、階層を含めた詳細なビル概要を今後の会合で、詰めていくもようだ。
周辺では札幌市とJR北海道などによる北5西1・西2地区市街地再開発も、200m超の複合ビルを構想していて、駅前の再開発が急速に進むことが予想される。
さらに、敷地に隣接して札幌市が市営地下鉄南北線さっぽろ駅のホーム増設を計画していることから、再開発ビルの地下とホームを接続するなど、連動した開発を視野に入れている。
建物や周辺整備を合わせた総事業費は1100億-1200億円に上るとみている。
ことし春から環境アセスメントを2、3年かけて実施するもよう。ドーコンが業務を担う。併せて、容積率の上限なく必要に応じた大規模なビル建設が可能となる都市再生特別地区の認定に向けた手続きも今後、進める見通しだ。
22年の本組合の設立を目指しており、その後、北4西3街区に立地する5棟あるビルのテナント移転などを順次進めるとともに、それぞれを解体する方針。開発着手は23年ごろになる見込みだ。
完成時期は明らかにしていないが、29年秋をめどとする北5西1・西2地区の再開発ビルよりも、先に竣工するように調整を進めていることから、26-27年度になるとの見方が強い。
街区内ではオリックス不動産投資法人が所有していた商業ビル「aune札幌駅前」を19年11月に約31億円で東急に譲渡した。関係者によると、1月29日の理事会でオリックス不動産投資法人に代わり、東急が組合員の一員になったという。
同社は、19年11月に東京でJR東日本などと開発した高さ200m超えの渋谷スクランブルスクエアの実績がある。北4西2街区にある東急百貨店札幌店が老朽化していることからも、今後の動向が注視される。
札幌駅南口北4西3地区市街地再開発は、約1㏊の街区に5ビルとヨドバシホールディングスが保有する旧札幌西武跡地を活用し、街区の中通を廃止して、低層の基壇部と高層部からなる一体的な建物を検討。設計は日本設計が進めている。
(北海道建設新聞2020年02月26日付1面より)