一般競争では経営不安定 公共工事入札制度の影響を検証

2020年03月05日 09時00分

山崎弘善道建協専務理事「建設業にとって公共工事入札とは何か」

山崎専務理事

 北海道建設業協会の山崎弘善専務理事は、一般競争入札のシミュレーションを通じて公共工事入札制度が建設業の経営にどう影響するかを検証した。その結果、市場調査で販売量を推測することができず工事を受注できるかは開札まで分からないことや一品生産で在庫を持てないといった建設業の特性ゆえに、入札制度において経営的に不安定な状況に置かれることが判明。その上で、地域の建設業として必要な能力が維持されるような入札制度を検討すべきとの結論に至った。山崎専務理事はこの結果を今後の入札制度を考える契機にしてほしいとしている。(山崎専務理事がまとめた論文は4面に)

 今回の検証は、一般競争入札制度で1社応札や高い落札率を良しとしないとする風潮に対する栗田悟副会長の疑問が発端だった。「そう言いたくなる気持ちは分かるが今の入札制度だったらそうならざるを得ないのでは」と考えていたという。このことから一般競争入札制度が経済学的な観点からどのように評価されるか調べてみるよう山崎専務理事に持ち掛けた。山崎専務理事自身も「建設業は談合などの悪いイメージが持たれるが、そうせざるを得ないような仕組みがあるならば、それをただしていくべきではないかという思いがあった」と振り返る。

 シミュレーションとしては、平均的な建設会社の財務状況を基にモデルの会社を設定し、エクセルを使って入札を繰り返すことで会社の経営状況がどのように変化するかを見た。

 ケース1では、2社がそれぞれ経営を維持できるような規模で公共事業が発注される状況下で調べた。ケース2は、ケース1と同じ公共事業が発注される状況で第3の会社がランダムに入札に参加した場合ではどうなるかを検証。ケース3ではケース2と同様の市場の下、在庫を保有でき生産量も販売見通しによって変更できるといった建設業とは違う特性を持った産業の会社だと経営状況がどうなるかを見た。

 それぞれの結果を見ると、ケース1ではシミュレーションを100回繰り返しても会社はほとんど破綻しなかった一方、ケース2で同様のシミュレーションをしたところ約1割の回数で破綻状態に陥った。またケース3で想定した会社だと破綻することはほとんどなかった。

 補論として、応札者が3社の場合にどういった落札状況だと経営が成り立つかを調べたが、競争相手が増えれば増えるほど事業量を多くするか、各社の経営を維持するだけ落札率を高くする必要があることが明らかになった。

 このような結果から現行の入札制度は一品生産などの特性を持つ建設業にとって厳しい制度であることが示されたが、山崎専務理事は「災害対応に当たるなど地域の建設業は必要なもの。入札制度について何らかの工夫をお願いしたい」と話している。

(北海道建設新聞2020年3月4日付1面より)

 北海道建設新聞2020年3月4日付4面では、山崎弘善専務理事の論文を全文掲載しています。

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