厚別区は37%増に
札幌市内の2019年新設住宅着工戸数は1万5999戸で、前年を9.5%下回り3年連続で減少した。全体の約6割を占める貸家は22%減と落ち込みが目立つが、分譲住宅が25%の大幅な伸びで全体を支えた。不動産市況に詳しい住宅流通研究所(本社・札幌)は、ここ数年の建設ラッシュで供給過剰感の強まった貸家が大幅減に転じたものの、持ち家は横ばいで消費増税の影響は小さいと分析する。
国土交通省の住宅着工統計のうち、市内分を集計した。
過去10年の年間平均戸数は1万6767戸で、これを4.6%下回る。
月別に見ると、19年上半期(1―6月)は1月が25%増と好調を保ったが、2―5月は前年を下回る戸数で推移。7、8月に微増に転じたが、10月には6割減、11―12月には7割減と大幅減少が続いた。
利用別では貸家が21.6%減の8811戸で3年連続の減少。持ち家は0.5%増の3698戸、分譲住宅は25.2%増の3458戸だった。給与住宅は2・3倍の32戸。
区別の戸数を見ると、中央区が3007戸と最多だが、10.1%の減少。続く北区は12.3%増の2476戸だった。3位は豊平区で18.5%減の2015戸となっている。厚別区は926戸と戸数は10区中7番目だが、36.6%増と伸びが目立った。
住宅流通研究所の入谷省悟所長は「供給過剰で市内の賃貸マンションや木造アパートが下火となり、貸家が大きく足を引っ張っている状況」と分析。14―18年の建設ラッシュによる供給過剰感の強まりや、厳格化した資金融資環境の変化が大きく影響したとみる。
10月の消費増税の影響は「持ち家は微増、分譲住宅は2割増で堅調」とし、軽微と推定する。
20年は、貸家の減少傾向が続いている状況。堅調だった持ち家や分譲住宅は「新型コロナウイルスの感染拡大から資材高騰や工期延長となれば、戸数が減少に転じる可能性もあり、予断を許さない」と話している。
12月単月の新設住宅着工戸数は、12.1%減の1109戸で4カ月連続の減少。貸家が24.5%減の624戸、持ち家が5.1%減の258戸となったものの、分譲住宅は227戸で40.1%増加した。
(北海道建設新聞2020年3月5日付12面より)