全用途平均プラス2.8% 札幌以外の市も上向きに
国土交通省は18日、2020年1月1日時点の公示地価を発表した。道内の平均変動率はプラス2・8%で、4年連続の上昇となった。住宅地、商業地ともに前年を上回る上昇率で、全国平均も上回った。札幌市は上昇を続けているが、同市以外の34市の平均変動率も上向いたことが特徴で、34市全体では住宅地が22年ぶり、商業地が28年ぶりに上昇へと転じた。上昇率の全国1位は、住宅地、商業地ともに3年連続で倶知安町内の調査地点だった。(6―8面に一覧、4、13―16面に関連記事)
20年の道内調査地点(標準地)は、99市町の1367地点。全体の平均変動率は、全国平均のプラス1・4%を上回った。用途別の平均変動率は、住宅地がプラス2・2%、商業地はプラス4・5%、工業地がプラス1%といずれも上昇し、商業地は5年連続、住宅地と工業地は2年連続でアップした。
■商業地は後志の上昇際立つ
商業地の前年からの継続標準地は359地点で、このうち半数を超える191地点において公示価格が上昇した。
上昇率トップは、倶知安町南1条西1丁目40の1ほかのプラス57・5%だった。元々の価格が低いことに加え、アジア系投資家によるホテル従業員向け宿泊施設としての引き合い、北海道新幹線や高速道路事業の着手で需要が高い状態が続いている。
2位は小樽市色内1丁目211の1のプラス31・4%で、前年77位から急上昇した。インバウンドへの期待からホテル需要が急速に高まっていることが背景にある。3位は札幌市中央区南6条西4丁目5の32ほかで変動率はプラス29・8%だった。同地点がある薄野地区では飲食店ビル建て替えやホテル用地取得の動きが活発だ。
札幌市は商業地全体でプラス10・2%と引き続き好調な伸びだが、今回は札幌以外の市でも上昇が目立った。
小樽市は2位の地点のほか、前年100位以下だった堺町36の2、入船1丁目1の1の2地点がプラス20%で10位にランクインした。また、北海道日本ハムファイターズの新球場建設が動きだした北広島市は全体でプラス14・5%、千歳市が12・8%、恵庭市が7・2%と石狩管内の都市も前年を大きく上回る上昇率になっている。
このほか、旭川市は市街中心部で大規模ホテル買収や不動産投資が増えたことから一部に上昇地点も見られ、全体ではプラス0・3%と29年ぶりに上昇。帯広市や江別市も28年ぶりに上昇へと転じている。
最高価格は、札幌市中央区南1条西4丁目1の1ほかの1平方㍍当たり520万円。5年連続の全道1位で、変動率はプラス16・9%だった。
■住宅地は札幌市の伸び拡大
住宅地は継続標準地940地点のうち、407地点が上昇した。中でも札幌市内は全307地点の9割近い274地点で前年を上回った。
上昇率1位は倶知安町山田83の29のプラス44%で、1平方㍍当たりの価格も10万円を超えて、札幌市の郊外並みにまで上昇している。2位は同町南3条東1丁目16の9ほかのプラス30・6%だった。リゾートエリアで別荘地の需要が続くとともに、リゾート施設従業員や北海道新幹線の建設作業員の賃貸住宅需要も旺盛で、この2地点は全国でも1位と2位だった。
3位は札幌市厚別区厚別中央2条2丁目989の188。再開発が具体化した新さっぽろ地区から近く、収益物件への投資が高まっているとみられる。4―8位も札幌市内の標準地が占めた。
人口10万人以上の都市では、札幌市が7年連続で上昇し、上昇率も10区全てで前年を上回ったため、全体でプラス7・1%と突出した。帯広市は宅地供給不足を背景にプラス2・9%で上昇率を拡大。小樽市は24年ぶりに上昇へと転じた。
道内最高価格は、前年と同じく札幌市中央区南1条西26丁目185の5で、1平方㍍当たり58万9000円となった。
(北海道建設新聞2020年3月19日付1面より)
北海道建設新聞2020年3月19日付6、7、8面には道内の地価公示価格一覧を掲載しています。
また、同日付4面には全国の概要、同日付13、14、15、16面には、道東、道北・空知、道央・道南、石狩管内の地価公示詳細の記事を掲載しています。
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