完成式典は新型コロナウイルス対策で断念
苫前町は22日に「苫前夕陽ケ丘風力発電所風来望4号機リプレース記念 完成式典」を企画していたが、新型コロナウイルス対策のため断念した。同町は、全国の風力発電事業の先駆けで、クリーンエネルギーのまちとしてPRしてきた。福士敦朗町長は「風力発電で全国初のリプレース。今後の再生エネルギーへの住民の期待を背負っていると思う。式典はさらなる起爆剤になると捉えていた」と、式典中止に無念さをにじませた。
町は、1998年から2000年にかけて国道232号日本海沿いの豊浦地区に風車3基を建設。出力は合わせて2200㌔㍗に上り、クリーンエネルギーを利用するまちとしてPRしてきた。
その後、風車3基の減価償却期間が過ぎたことや、新風車「風来望4号機」の建設が決まったことを受け19年9月に解体・撤去。翌月には留萌港から新風車の部品輸送や、組み立て作業が始まった。新風車の建設地も豊浦地区だが、海側から国道を挟んだ山側となる。
4号機はタワー高さ78m、最高到達点118m、出力は2300㌔㍗で、解体・撤去した3基分の出力を誇る。
福士町長は、20年度に風力発電収入の一部を活用し町民に還元するため、ごみ袋価格の大幅な引き下げに取り組む。また、「町内会館や街灯の電気料補助、家庭用照明のLED化支援などを考えている」と、さらなる還元策を思案。町民の豊かな暮らしの実現に全力を注ぐ。
一方で、今後の再生エネ普及の課題にも言及。「送電網がなければ再生エネは広がっていかない。再生エネ比率を高めるためにも、送電網拡充を国などに要望していきたい」と未来を見据えている。
(北海道建設新聞2020年3月23日付10面より)
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