障害の有無は関係なし、全員が戦力 日本理化学工業

2020年03月28日 10時00分

知的障害者雇用61年目 「支え合い」社員の原動力に

 粉が出にくいチョークで知られる日本理化学工業(本社・川崎)は、知的障害者の雇用を始めて61年目を迎えた。全員が戦力になるよう手厚くサポートし、理解力に合わせた工夫をすることで働きやすい職場環境を実現。障害の有無にかかわらず、誰もが働く幸せを感じる社会を目指した取り組みが注目されている。

美唄工場の作業風景

 1937年創業。道立総合研究機構の協力を得て開発したホタテの貝殻を再生活用する「ダストレスチョーク」の製造や、文房具などのプラスチック成形を手掛ける。

 60年に知的障害者を初めて雇用した。特別支援学校の教諭が生徒2人を連れて「来春に卒業する生徒の就職をお願いできないか」と訪ねてきたのが始まり。当時は読み書き計算が難しい知的障害者を雇用する会社はなく、同社も受け入れが難しいとして断った経緯がある。

 教諭は断られても何度も足を運び、頼み込んできた。熱意に押され、2週間の就業体験を受け入れた。しかし、箱にラベルを貼る簡単な作業でも間違ったものを貼ってしまうなど失敗を繰り返した。

 それでもパート従業員が一生懸命に働く2人の姿を見て「2人なら面倒を見られる。来春採用してみたら」と後押ししてきたことがあり、60年春に2人を採用した。以来、「働いて役に立つ幸せ、誰もが必要とされ役に立って働ける皆働(かいどう)社会の実現」に貢献するため知的障害者雇用の取り組みを続けている。

 67年に美唄市に工場を設けた。福祉政策に力を入れる市が、障害者雇用の場がほしいと熱心に誘致し、これに応える形で開設。美唄工場の社員は33人で、うち27人が知的障害者だ。

 美唄工場では、1日20万本のチョークを生産する。同社のチョークの国内シェアは約75%。知的障害者を応援したいと購入してくれる顧客に支えられている。

 原料を混ぜ、成形・切断し90度で6時間乾燥させた後にコーティング加工。検査をして箱詰めする。雇用を守るために機械化は必要最低限にとどめている。

 分かりやすい工夫を随所にちりばめる。原料にのり材を混ぜて練る作業では3種類の砂時計を使用し、機械を動かす時間を計測。時計が読めなくても時間が計れる。

 チョークの太さと長さは基準がある。ベテランは目視で判別しているが、不良が疑われるチョークは検査器を使う。検査器は手のひらに収まる大きさの箱状で、チョークを溝に入れて判別をする。

 毎年12月に個人目標を設定し、玄関前に掲示している。成長を見せ、会社に貢献した人やチームを「月間MVP」に選び、商品券を贈呈している。

 月に一度、成果や課題、気が付いたことを発表する機会を設ける。大勢の前で発表することで、モチベーションアップにつながっているという。

 西川一仁常務取締役は「個人の足りない分の能力を埋めるのは会社がやること。人が成長できない会社には人が来ないし、去ってしまう。育てられる会社で成長できた人は何十年も長くとどまってくれる」と話す。同社の平均勤続年数は25年で、30―40年働く社員がいる。

 社員の原動力となっているのは「他者のために働く」との思いだ。自分が必要とされる。だからこそ、働きたいという意欲が高まる。
 その上で「理解できるように一緒にやりましょうという会社の姿勢がある。何年も継続することが大事。人を成長させることは技能伝承にとっても欠かせない」と力を込める。

(北海道建設新聞2020年3月27日付3面より)


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