利用者増も周辺消費低調 釧路市中央図書館の経済波及効果

2020年04月11日 10時00分

 釧路市と釧路公立大地域経済研究センターは、まちなかに整備した中央図書館[MAP↗]利用者による経済波及効果が2億3660万円に上るとの調査結果をまとめた。利用者は旧図書館時代の2・4倍に増えたが図書館周辺での効果額は1億632万円にとどまり、これを高めるには回遊性や自給率の向上が重要と分析している。

 通行量は休日の昨年8月31日と平日の9月4日に調査。消費行動や金額などは昨年10月1―12日、来館者510人を対象にアンケートし、486人から回答を得た。年代別割合は10代が19%と最多で、20代が9%、80代以上が2%だったほかは、各世代とも10%台となっている。

 昨年1月から12月までの利用者数は、内包されている釧路文学館を含めて21万4815人。高台(幣舞町4の6)にあった旧図書館時代の2016年との比較では2・4倍に増加した。

 中央図書館付近の北大通など8地点で実施した通行量調査では、15年の実績を平日で34.9%、休日で46.6%上回る。

 ただし、波及効果のうち1億3000万円余りは自宅から図書館の途中で立ち寄る商業施設などでの消費によるものであり、まちなかへの移転効果とは言い難い。

 まちなかでの行動パターンを見ると、男性は全世代を通じて図書館のみの利用が主流だが、40代の1割はまちなかのホテル滞在者が占める。女性に目を移すと、10代、20代は男性より立ち寄る場所が多く買い物もするが、子育て世代の30代は極端に利用が減少。しかし40代になると図書館の前後で外食や習い事に立ち寄る人が増え、70代は外食の比率が最も高かった。

 一方、アンケート結果から推定された最終需要額(消費額)が2億5395万1679円なのに対し波及効果が2億3660万4075円にとどまったのは、コンビニなどの利用が多く地場産品があまり消費されないため。

 市都市経営課の長尾雄平企画担当専門員は「若い人はコンビニを利用する程度でほとんど飲食をしない。自給率の低さも課題」と指摘。今後は利用者のニーズに対応した店舗の立地や地場産素材を使った飲食の充実、他施設や民間との連携と情報発信力の強化で回遊性などを向上させ、まちなかでの消費額と波及効果を高めていくことが重要と話している。

(北海道建設新聞2020年4月9日付11面より)


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