新型コロナウイルス感染対策の一環として飛沫(ひまつ)感染や空気感染に配慮した製品を提案する動きが広がっている。燃料タンクなど住宅設備の製造・販売を展開するホクエイ(本社・札幌)は次亜塩素酸水などで室内除菌を促すため、米国製の業務用ハイパワーミストファンを用意する。交通機関や公共施設の案内看板などを手掛ける表示灯(同・東京)は、飛沫感染防止対策の「安心ガード」を発売。建機レンタルのアクティオ(同・東京)は、ウイルス対策用のユニットハウスとして仮設陰圧ハウスを開発した。
ホクエイは、主に夏場の熱中症予防に使われる大型噴霧機を、施設や敷地の除菌に活用することを提案。除菌液などを噴霧することで、手作業に比べて短時間で広範囲をカバーできる。新型コロナウイルス感染拡大を受けて衛生対策の需要が高まる中、各種の施設管理者などに売り込む。
扱うのは米国Breezer Holdings社製の業務用ハイパワーミストファン「POWER BREEZER(パワーブリーザー)」。ホクエイは日本国内代理店として2018年に輸入販売を始め、これまで工場や牛舎などの高温対策に使われてきた。
組み立て式で、稼働時のサイズは高さ177×幅75×奥行き130cm。容量378㍑の大型タンクを搭載するが、車輪付きで容易に移動できる。
ミストの粒子はおよそ5―30㎛。ジェットエンジンの技術を取り入れた強力なファンで一定方向に噴き出す仕組みで、70度角の首振り機能を持つ。風力を10段階で調節でき、最大279m²の範囲にミストが行き渡る。次亜塩素酸水など除菌効果があるとされる液体の散布もできる。
電源は100ボルトと200ボルトに対応する。価格は1台当たり100万円前後が目安となる。担当する営業課の新敷知史係長は「デモ機での実演も可能。ミストの効果を体感してほしい」と話している。
表示灯は、飛沫感染防止対策の「安心ガード」を発売した。新型コロナウイルス拡大防止策の一環として、顧客と対面で接客する各種窓口やカウンターなどで設置を促す。
透過性や加工性に優れたアクリル樹脂板を使用し、圧迫感のない高い透明度を持つ。窓口業務の際に便利な受け渡しスペースも設ける。専用台に差し込むだけで設置でき、けが防止のため角は面取り加工を施している。
2種類用意し、幅900×高さ600㍉のLサイズは1万2000円、幅700×高さ600㍉のMサイズは1万1500円(いずれも税抜き)と設定している。
アクティオの仮設陰圧ハウスは、ユニットハウス内を前室と診察室に間仕切りした製品。医療機関などに向け、下旬から順次レンタルを始める。ウイルスを外部に流出させることなく、清潔な状態で診察に対応できるのが特長だ。
前室には小型集じん機付きエアーシャワーを完備し、体に付着したウイルスやほこりを落とせ、診察室に入る前の準備部屋として使用できる。診察室は室内の空気が外に流出しないよう、気圧をマイナス2・5パスカル以上に設定。超微細な粉じんにも対応する集じん機で空気を循環させ、抗ウイルスのHEPAフィルターを通して排気することで、ウイルスを外部に流出させることなく、診察室を清潔な状態に保つ。
壁紙と床材は病院などでも使われている抗菌仕様。仮設ユニットハウスのため、どこでもすぐに設置できる柔軟性も備える。中長期間で使用でき、医療機関などでの利用を想定している。
「医療系をターゲットにしたのは初の試みで、今後も顧客の要望に合わせ商品を進化させたい」(広報課)と話している。
(北海道建設新聞2020年4月16日付3面より)