リスク回避最優先で工事遂行
新型コロナウイルスの感染症拡大を受け、いつどう影響が及ぶか分からない「見えない脅威」。その脅威に対し、土木業を中心に展開する植村建設(本社・赤平)は、独自の事業継続計画(BCP)や作業所対応マニュアル策定などで、社員の感染防止・事業への影響を最小限に抑える対策に取り組んでいる。
自社独自で策定したBCPに新型インフルエンザや鳥インフルエンザの感染症対策は盛り込んでいたが、拡大を続ける新型コロナウイルス対策について追記・改定した。
内容については植村正人社長と松平明仁安全衛生対策室室長が中心になって協議。重要業務継続のために必要不可欠な要素・資源を洗い出し、勤務体制や通勤方法の見直しを含めた人員計画、休業発令、休業の種類別対応などを示している。
同時に、社員や協力会社の意思統一を図るため、新型コロナウイルスへの作業所対応マニュアルも策定。自宅待機や医療機関への連絡・相談などの基準を設定したほか、作業所内の環境対策で、協力業者に現場入場者検温測定表の提出を求め、消毒液や手洗い石けんの常備、2時間に1回の換気、湿度60%以上の維持などを盛り込んでいる。
受注工事については現状で影響はないが、今後、万一、工事用資材が入手できなくなる場合も懸念される。可能な限り工事用資材の早期調達を目指す。管理や養生などで自社の経費負担は増すが、「工事用資材が入手できずに工期が遅れるリスクを避けることを目的に、協力業者と調整を図る」(植村社長)。
また、今後受注した工事の現場事務所については、消毒液の不足も危惧。手洗いを重視し可能な限り全ての現場事務所に水道設備を設置する方針だ。水道設備や水道代で費用も増すが、リスク回避を最優先し受注工事の遂行を図る。
毎年請け負っている道路清掃は、防じんマスクが入手困難な状況。人力負担を減らすことも考えて路面清掃機械の導入を検討している。
新型コロナウイルス対策で自社の負担増は避けられない状況だが、各現場代理人には利益率が落ちないよう知恵と工夫を促す。逆境を逆手にとって「ピンチをチャンスに変える」考えだ。(空知支社・荒井園子記者)
(北海道建設新聞2020年4月20日付10面より)