懸念する設備投資控え
五十嵐組(本社・名寄)の五十嵐幸次副社長は、新型コロナウイルスの感染拡大について、現段階では建設業への影響は少ないとしながらも「これから公共、民間工事ともに受注量が減る可能性はある」と危機感を持つ。他業種のグループ企業では影響が出始めていて、先が見えない状況に不安を感じながらも地域建設業として地元経済を引っ張る考えだ。
同社では、感染者を出さないための対策として社員にマスクを配布し、社内、現場事務所など各所に消毒液を配置。体調に異変を感じたらすぐに休むよう呼び掛けている。
新型コロナウイルスのまん延が長期化することに伴う受注量の減少を懸念する。「一番心配しているのは、民間企業の売り上げ減少による(建築などの)設備投資控え。公共ではコロナの経済政策による(財政的な)反動が出るときが来る」。
対策としては「少ないコストでも質の高い工事ができる必要がある。ICTを活用するなど、人的負担を減らして生産性を上げるしかない。スピード感を持って実行しなければ」と先の見えない状況に思案を巡らせる。
他業種のグループ企業では、住民の外出自粛による影響が出てきている。不動産業を手掛ける北斗商事では、市内の飲食店が入るビルの家賃を、3カ月半額にする措置を取った。売り上げが減った飲食店からの要望を受けて取った対応。燃料販売業のアイジーではガソリンの売り上げが3月は3割、4月は現時点で5割程度減少した。
飲食店、宿泊施設など観光関連産業を中心に、新型コロナウイルスの流行は名寄市内を含め地域経済に打撃を与えている。現時点では影響の少ない建設業だからこそ、引き続き高品質な工事ができるようにする必要性を強調する。
交通インフラの維持管理、災害復旧など建設業は地域の要だ。「日々の仕事をしっかりこなしつつ、飲食店ではテイクアウトを使用するなど、感染を広めないよう配慮して経済を回すようにするしかないのでは」と地域経済が衰退しかねない現状で、役割を見据えている。(旭川支社・沓沢奈美記者)
(北海道建設新聞2020年4月22日付12面より)