原材料受け入れ検査を代行
北海道生コンクリート工業組合(道生コン工組)は24日、コンクリート技術センター開設が柱の共同試験事業を2020年度から始めることを固めた。同日開いた書面理事会で、既存の指導教育や調査研究などと並び、重点事業に加えることを決めた。事業開始は7月1日を予定。今後は全国生コンクリート工業組合連合会(全生連)から共同試験場の認定を受けた後、生コン工場自ら実施することが原則の原材料の受け入れ検査を代行することで、生コンの品質向上や信頼性の確保につなげる方針だ。

7月の開設を目指すコンクリート技術センター
道南地区生コンクリート協同組合連合会が運営しているコンクリート技術センターの道南と道央試験所の業務を引き継ぐ。5月26日開催の通常総会で正式決定する。
生コンは、容積の7割を占める骨材の品質確認が重要で、全生連では骨材を含む原材料の受け入れ検査について、生コン工場が自ら実施することを基本としている。ただ、専用の試験設備や人員を各工場で設けるのは難しく、負担軽減策として全国61カ所の生コン工組が共同試験事業に取り組んでいる。
共同試験場の信頼性や公平性を保つため、全生連は1982年に認定制度を創設。認定を受けた共同試験場はJIS「試験所および校正機関の能力に関する一般要求事項」に適合し、生コンの品質確保で重要な役割を機関と位置付けられている。北海道は、地域の分析会社などが柔軟なサービスで骨材や水の試験業務を担い、共同試験事業は定着していなかった。
道生コン工組では5月の通常総会で正式決定した後、全生連の認定共同試験場として道南と道央の両試験所を開設させたい考え。組合員の工場や道内の骨材製造業者に向け、一層の周知を促す。
道央試験所は、コンクリートの劣化原因となる骨材のアルカリシリカ反応性を調べたり、コンクリートの圧縮強度や引張強度を確認できる。セメントや練り混ぜ水の試験もする。
ゼネコン向けにトンネル剥落防止用繊維シート接着工の押し抜き試験を実施したり、コンサル向けに硬化コンクリートの中性化試験なども手掛ける。中でも鉄筋の引張強度と曲げ試験は、道内では少ない太径のD51まで対応できる。
今後は道南と道央の両試験所の人員と設備を互いに活用し、組合員工場のほか、地域のコンサルやゼネコンに向けてサービス力を一層高める意向だ。
(北海道建設新聞2020年4月27日付3面より)