一二三北路(本社・札幌)は、札幌市内の下水道災害復旧工事でCIMとGISを使った現場管理システムを構築した。グーグルアースプロと公開データの利用により導入費を抑えながら施工状況の「見える化」を実現。防災データと組み合わせることで、地震時の被災箇所を明確にする防災ツールとして役立つ。
採用したのは清田区下水道災害復旧現場。北海道胆振東部地震の被害に伴う復旧で、里塚や清田、平岡など1つの工事に施工箇所が5カ所点在していた。
システムは街並みや工事の内容、施工状況を3Dモデルやデータで確認可能で、土地勘のない人でも状況を把握しやすく円滑に管理できるのが特長だ。パソコンだけでなくタブレット端末にも対応し、現場で参照できる。
電子地図上に施工場所ごとの情報を集約して発注側の監督員を含め、関係者で共有可能なため、打ち合わせの効率化につながった。
監理技術者としてシステムの構築を主導した坂下淳一土木工事部長は「工事箇所が分散し、現場担当者が周辺地理に詳しくない状況でも、周辺と工事状況を可視化し、一括管理することで円滑な工事進ちょくを目指した」と説明する。
ベースとなる電子地図は、低コストで使用データが小さいグーグルアースプロを採用。市が公開する下水道管路台帳データ、自社で作成した3DのCIMデータを組み合わせて構築した。
札幌市が公開する液状化マップと震度マップをこのシステムに重ね合わせたところ、震度の変わる境界線上の液状化被害が大きいことが判明した。
同社は自治体主導で各社の施工データを登録すれば、将来の被害予測や減災に役立つと判断。札幌市などへ活用を提案する。
坂下部長は「視覚的に分かりやすい情報共有の仕組みづくりで、防災計画や災害時対応などに役立てたい」と意欲を示している。
(北海道建設新聞2020年5月8日付3面より)