渋沢栄一らの思い今も 十勝開墾合資会社の厩舎

2020年05月15日 15時00分

清水町が看板更新でPR 建物保存対策の必要性も指摘

 近代日本経済の父といわれる渋沢栄一らが清水町熊牛地区などの開墾を目的に設立した十勝開墾合資会社が、1919(大正8)年に建てた厩舎(きゅうしゃ)が現役の牛舎として活躍している。同氏の功績を後世に伝える町の文化史跡で、当時の建築を知る上でも貴重だ。町は2020年度に文化史跡の看板を更新する計画で、建物に関しても「保存に向けた対策が必要」としている。

牛舎は一世紀の時を経て今も現役

 十勝開墾合資会社は1897(明治30)年に設立され、民間資本により現在の同町熊牛地区と人舞地区の原野4270haを開墾。農場では大豆、小豆などを生産し牧畜や水田にも取り組んだ。

 初代農場長は町村金弥氏。事業により入植が進み、住民のために寺や小学校を建てる社会資本整備も進め、青淵山寿光寺や大勝神社が今も残る。

 厩舎は清水町熊牛11にあり、W造、2階建て、幅5間半(10m)、長さ22間(40m)の大きさ。札幌農学校第2農場をモデルに設計したとされる。

内部には建築当時の梁や束柱が現存している

 床はコンクリート製で家畜のふんや飼料を搬出入するトロッコのレールが通り、屋根を支える長さ10mの梁も当時のまま。町内の渋谷農場が所有し、屋根など一部を改修して1階部分を牛舎、2階は乾草の保管場所に使っている。

 同農場の渋谷正則代表は「当時、この辺りにコンクリート基礎の建物はなく、セメントを樽(たる)に入れて本州から船で運んだと伝え聞いている。数年かけて建てられたが、冬の寒さに耐えきれず大工が帰ってしまうため、とにかく人を集めるのが大変だったようだ。祖父が十勝開墾合資会社の従業員で、建物は(同社が)解散するときに譲り受けた」と話す。

 19年、渋沢栄一が新一万円札の肖像画に採用されたことなどを受け、町は「渋沢栄一ゆかりの町」をPRする方針を固めた。今後、同氏の生誕地である埼玉県深谷市などと交流を活発化させる。功績の一つである十勝開墾合資会社の歩みを後世に伝える史跡として「個人が所有する建物だが、保存に向けた対策が必要」(町企画課)と話している。(帯広)

(北海道建設新聞2020年5月14日付11面より)


関連キーワード: 十勝 歴史的建造物 畜産

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

株式会社クリエイター
  • web企画
  • 東宏
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

道内建設会社 毎週5社のペースで消える
2020年08月31日 (2,222)
工事が順調に進展 仮称・苫小牧中央インター線
2020年06月16日 (2,078)
現場の風景 旭川市総合庁舎建て替えと工高生
2020年09月04日 (1,619)
ニセコ・アビエーションが倶知安に「空の駅」
2020年09月15日 (1,388)
日ハムBP起工式 大林組・岩田地崎JV竹中所長の思い
2020年04月14日 (1,021)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 若返る新さっぽろnew

若返る新さっぽろ
「副都心」ににぎわいを取り戻すため、医療と教育を核とする大規模再開発が本格化。計画が生まれるいきさつとともに街の展望を探る。

連載 会社探訪記

会社探訪記
地域に根差した企業を不定期で紹介します。

連載 深掘り

深掘り
地域発展には欠かせない、新技術と それを発展させたビジネスの創出。 〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想や アイデアを紹介します。