洞爺湖、富良野で相次ぐ
海外資本による森林取得が全道に広がっている。道は2019年12月末までに2946haの取得を確認。このうち後志管内が54.7%を占め、国際的にリゾート地として有名なニセコ地域を中心に取得が進んできた。しかし、近年は洞爺湖町や富良野市エリアでの取得が相次ぎ、ニセコ地域にとどまらず、全道域に展開し始めている。
道は、海外資本による道内の森林取得状況を12年から毎年公表。累計は転売などで海外資本の所有でなくなったものを除き集計した。
森林取得の推移を見ると、16年にはシンガポールの外資系企業が赤井川村で221haを買収し、全体では509haを記録した。17年には120haまで減少し、若干落ち着きを見せたものの、その後は右肩上がりに上昇。19年は公表開始以来、2番目に多く、依然として本道人気の高さがうかがえる。
取得地別で見ると、倶知安町が最多の575ha。このほか後志管内は、ニセコ町が289ha、赤井川村が266ha、共和町が151haなどと管内全体では1610haだった。取得目的の大半は資産保有となっている。
ニセコ町の担当者は「近年、資産保有の目的で取得された森林の開発があったとは聞いてない。何のために取得しているのか明確には把握できていない」と話す。
一方、近年はニセコ地域以外での取得も目立つ。外国資本による取得が確認された地域は、14年は後志管内を中心とする19市町村だったが、19年には41市町村にまで増えた。
特に洞爺湖町では、16年に中国の外資系企業がコンドミニアム建設を目的に3ha、17年に台湾の外資系企業がホテル建設のため0・6haを取得。18年に中国の個人が3ha、19年にサモアの法人が93ha、オーストラリアの法人が12haを資産保有目的で取得するなど、売買の動きが活性化している。
上川管内では、富良野市で17年にタイの法人が開発を目的に1haを買収し、19年には香港の法人が0・4haを購入。上富良野町でも19年にシンガポールの個人が資産保有目的で3haを買うなど、富良野市周辺での森林取得が相次いだ。
このほか、恵庭市や北広島市など札幌近郊では大消費地が近いことから、太陽光発電を目的とした取得が多く見られるようになった。
道の担当者は、外国人観光客から洞爺湖町や富良野エリアは人気が高いことから「明確な理由は把握していないが、第2のニセコとして買われている可能性があるのでは」との見方を示している。
(北海道建設新聞2020年5月19日付1面より)