21年通期は新型コロナ影響を懸念
大手ゼネコン4社の2020年3月期決算が出そろった。全社増収だったが、増益は利益率が好転した大成建設のみ。清水建設は営業増益、経常増益ながら減損損失計上で最終減益に終わった。大林組が連結売上高2兆円台を維持し、7期連続で首位を守った。本業のもうけを示す営業利益、経常利益、純利益は大成建設が2期ぶりに最多。大林組と清水建設は前期に続き過去最高の純利益更新はできなかった。鹿島が売上高2兆円台に乗せたものの、2期続いて減益となった。
堅調な公共投資・民間設備投資を追い風に、4社の連結売上高総額は2.8%増の7兆5334億1600万円に上り、前期を2036億2500万円上回った。
しかし、資機材や労務費など建設コスト上昇が利益面の下押し要因となり、連結営業利益総額が5865億700万円(0.9%増)、連結純利益総額が4373億9900万円(0.5%増)とそれぞれ横ばいにとどまった。
単体を見ると、受注高と完工高は大林組、完成工事総利益と繰越高は大成建設が最も多かった。
受注高は、国内官公庁建築や海外土木を伸ばした大林組が好調だった。清水建設と鹿島は国内民間建築の低迷が足を引っ張った。海外受注は清水建設が1500億円、大成建設が1400億円を突破した。
完工高は順調な工事進ちょくで4社とも増加。完成工事総利益は大成建設と清水建設が増え、大林組と鹿島が落ち込み、明暗を分けた。
完成工事総利益率は、大成建設が14.2%でトップだったが、前期の14.3%からわずかながら後退した。鹿島は13.4%(前期14.1%)、大林組は12.9%(13.5%)で共に低下し、収益悪化を裏付けた。清水建設が唯一上昇し、前期の12.8%から13%とした。
単体の繰越高は合計で7兆8196億9500万円(2.5%減)。1964億6500万円減った。大成建設の2兆2000億円台が筆頭。大林組以外は苦戦が続く。清水建設が海外工事2350億円、大成建設が2309億円を積み上げ、海外展開を加速させている。
新型コロナウイルス感染症拡大による影響が発生し始めている建設業界。21年3月期連結業績は、計画の取りやめや発注時期の延期、現場閉鎖に伴う経費の負担増などを懸念材料として挙げ、大成建設が大幅な減収と利益半減、鹿島も減収減益を見込む。大林組と清水建設は算定が困難と予想を公表していない。
(北海道建設新聞2020年5月27日付2面より)
北海道建設新聞2020年5月27日付2面では、4者の20年3月期決算の詳細を企業ごとにまとめた表を掲載しています。
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