明日を見いだす 建設業若手経営者の挑戦

 建設業で30代、40代の経営者が続々と登場している。

 足元では少子高齢化、ITの発展で社会が大きく変化する中、コロナショックの発生で経済は混乱のさなかにある。不透明感を増す新時代を担う経営者たちは、これまでどう歩み、これから何を目指すのか。

 北海道建設新聞は、北海道経営未来塾(長内順一塾長)の協力を得て、同塾で学んだ建設業の若手経営者7人を取材した。連載で紹介する。

明日を見いだす 建設業若手経営者の挑戦(1)秋津道路 渡辺慶人社長

2020年06月10日 12時00分

舗装で北海道を支える 新卒採用、教育に力 将来への投資

渡辺慶人社長(36)

 社長就任から1年。「専務時代と比べ、社長になってからは諦めることや折れることがなくなった。我を通しすぎるというわけではないが、社員の顔が頭に浮かび、ここで折れたら会社にとって良くないと思うようになった」と話す。

 3人きょうだいの次男。将来を考えるようになったのは大学最終年のときだ。「祖父の代から続く会社。継ぐのは自分しかいない」

 とはいえ、人生が決まってしまったつまらなさを感じたと明かす。海外で生活するのが夢だったため、卒業後1年間の約束でカナダに留学。幼少期からプレーしているサッカーの実力を買われ学費を免除してもらえることになり、約束を延ばして3年間の海外生活を送った。

 2011年に入社し、2年間は道南事業所に住み込みで勤務。その後は小樽商大大学院に通い、MBA(経営管理修士)を取得した。仕事で困ったときに相談できる仲間に出会えたことが大きいという。

 会社が抱える課題の一つに新卒採用難があった。専務時代から、業界のイメージを変えようと、若手や女性社員が学校訪問をするようにした。土木科からというこだわりを捨て、普通科にも門戸を広げた。

 併せて、教育制度を創設。新卒者はすぐに現場に出さず、専属の教師役を付けて手稲区の札幌事業所を教室に座学から舗装作業までを2カ月間学ばせる。教師役を務める人はその間、現場を担当しない。会社としての将来投資だと考え、本来生み出してもらえる売り上げを捨てて教師役に専念してもらう。このほかにもさまざまな研修を受け、半年後に現場デビューをする。

 手厚いサポートにより離職率が低く、近年は毎年3、4人の新卒者を採用できるようになった。同業他社の新卒教育を請け負うことも考えている。若手同士のつながりや刺激になり、業界の発展に貢献できるとみている。

 従来の慣習を維持したい人と、新しいものを取り入れたい人との考えの違いを埋める作業に大変さを感じている。「ベテランが徐々に若手の意見を聞いてくれるようになった。互いに言い合いすりあわせてできたワークスタイルを確立すべき」と考える。

 父である渡辺一郎会長の存在が大きい。「人格が秀でていて、周りから信頼されている。まねをしつつ、自分の良さを出したい」と意気込む。

 自身を「情が強く、仲間意識があるほう。誰かのために、という思いが自分を支えている」と分析する。社員が幸せになることが一番と捉え、働きやすく日々のやりがいを感じる会社を目指し奮闘中だ。

 舗装専門で培った経験や技術が会社の強み。道路は移動手段として確実に使われるインフラで、北海道の食と観光を支えられると自負している。「社員にとっての道しるべになりたい。会社がどう進むかが見えないと皆不安になる。どこに向かうかの光を見せられる社長でいたい」と経営者としての将来像を描く。(経済産業部・富樫 茜)

秋津道路
 本社・札幌市豊平区中の島1条2丁目2の4、設立1962年、資本金5000万円、社員数47人

渡辺慶人(わたなべ・よしひと)
 1984年4月11日生まれ、札幌市出身。専修大経済学部卒業。2013年に取締役、16年に常務、17年に専務となり、19年に社長に就任した。

(北海道建設新聞2020年6月1日付3面より)


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