清水町熊牛地区などの開墾を目的に、渋沢栄一らが設立した十勝開墾合資会社に関連する大正期の農場図が、帯広市内の日本甜菜製糖ビート資料館[MAP↗]で公開されている。区画整理されたほ場、農道、テンサイの運搬に使われていた私設の河西鉄道などが確認でき、清水政勝館長は「当時を知る上でとても貴重な資料」と話している。
「十勝開墾株式会社農場全図」と名付けられたこの地図は、5万分の1の縮尺で、会社経営が明治製糖に移った直後の1925(大正14)年に作られた。東京都内の日本甜菜製糖本社に保存されていたが、ことし3月、他の図書と一緒に資料館に送られてきたため、清水館長が補修して公開した。
1897(明治30)年に設立された十勝開墾合資会社は清水町熊牛地区などの原野4270haを開墾し、株式会社への改組を経て明治製糖に事業を譲渡。地図は「明治製糖が所有していた図書の中にあったのではないか」(清水館長)という。
十勝川の両岸に整然と区画整理されたほ場、地区内を南北に伸びる農道、河西鉄道の駅や線路が確認できる。
清水館長は「周辺地域がまだ原野だったころ、早くから民間資本によって開拓が進められたことを示す資料。多くの人に見てもらいたい」と話している。(帯広)
(北海道建設新聞2020年6月1日付9面より)