老朽化で部材、さび片落下
道は20日、老朽化のため解体を計画する北海道百年記念塔[MAP↗]を報道機関に公開した。道の担当者は、13mの高さから落下した鉄製部材や、塔内外の壁から剥落したさび片が堆積している現状を見せ、安全性が低く維持管理にも多額の経費を要すると、解体の判断に至った経緯を説明した。翌21日には解体に反対する2つの団体にも視察してもらい、理解を求めた。
1970年に完成した道立野幌森林公園内にある百年記念塔は、鉄骨トラス構造の地上25階建てで、高さは100m。外装材には耐候性高張力鋼板を使用している。ただ、さび片が落下するなど劣化が進んだことから、2014年7月から塔周辺を含めて立ち入り禁止にしている。
風雨にさらされた外壁は、波打ちや腐食による穴あきが確認できる。また、18年の台風21号では長さ195cm、幅21cm、重さ9㌔の部材が記念塔中5階から立ち入り禁止エリア内に落下。下地が腐食し固定金具が外れたのが原因だった。
道は今後50年間の維持管理経費として、展望室まで立ち入り可能とする場合は28億6000万円、モニュメントとして維持する場合は26億5000万円、解体する場合は4億1000万円と試算。一般利用者の立ち入りを可能にした場合は、耐震化経費が必要になる可能性もあるとした。
こうした見通しから「解体やむなし」と判断。18年12月に策定したほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想の中で、耐久性や維持コストにも配慮した新たなモニュメントを配置した交流空間を形成することに決めた。解体に向けて20年度予算に実施設計費を計上している。
一方、建築家有志で構成する「北海道百年記念塔の未来を考える会」と地元有志の「北海道100年記念塔を守る会」は保全を要望している。考える会は昨年12月と今月、道へ公開質問状を提出。解体の判断が拙速であると抗議し、根拠説明を求めるとともに継続利用に向けて手法などを提案している。
(北海道建設新聞2020年6月23日付1面より)