コロナ影響最少へ 契約確実に
4月1日付で鹿島北海道支店長に就任。北海道の有望市場として風力などの再生可能エネルギーやオリンピック開催を見据えた都市再整備の動きに注目する。民間設備投資は対応中のプロジェクトを確実に契約に結び付け新型コロナウイルスの影響を最小限にとどめる考えだ。(建設・行政部 大坂 力記者)
―就任の抱負を。
北海道が有する広大な大地のポテンシャルを背景に、社会資本整備や設備投資に関する顧客のニーズを的確に捉え当社の総力を結集する。学生時代を過ごし、芽室町の士狩大橋での現場経験を通じて自分を育ててもらった北海道にはひときわ強い思い入れがあり、社業を通じて北海道の発展に貢献して恩返ししたい。
―北海道の建設市場をどう見るか。
建設業がさらに活躍できる素地や可能性は大いにあると考えている。地理的有利性から洋上風力、陸上風力、バイオマスといった再生可能エネルギー関連工事の展開を有望市場と位置付けている。
札幌冬季オリンピックの開催を見据えた都市再整備計画にも可能性がある。前回のオリンピックから50年近くがたとうとするが、当時からの街並みの更新需要を掘り起こしたい。
また、北海道新幹線関連工事と連動する札幌都心アクセス道路構想、交通ネットワーク関連で大型トンネル工事や高速道路リニューアル工事にも注目している。
一方、新型コロナウイルスの影響が懸念される民間事業者の設備投資の落ち込みに対しては、今後も動向を注視せざるを得ない。現在、対応中のプロジェクトを確実に契約に結び付けることで業績への影響を最小限にとどめたい。
―営業方針については。
入札案件は全社の知見を結集して、まずは技術点1位の獲得を目指す。当社の技術力を発揮できる工事、工種に的を絞り積極的に取り組む。民間工事は顧客のことをよく勉強し、その資産や人材などの活用状況をよく見て胸に飛び込み、顧客のためになる提案型の営業を展開していく。
「現場は利益の源泉であり、技術開発の源泉であり、営業の源泉である」という信念の下、現場で立派なものを無事故で工期内に造り上げることが長い目で見れば何よりの営業活動であり、現場にとってのみならず会社全体の営業財産になるものと考えている。
―支店の運用方針は。
「人を大事にすること」と「現場ファースト」の2点をスローガンに掲げる。会社の財産である従業員が最大限の力を発揮するために、一人一人のポテンシャルが上がるような支店機能の拡充と向上に努力したい。現場と管理部門が一体感を持ち、現場における成果を従業員全員で共有して会社の活性化につなげる。
―働き方改革に向けては。
当社だけの問題でなく協力会社を含めた業界全体の大きな課題だ。業界全体の持続的発展のためにも協力会社と当社双方にメリットがある環境づくりに取り組み、業界のイメージアップを図る。
現場には、4週8閉所を目標として頑張ってもらいたい。各現場の状況や顧客の要望などを的確に捉えて目標達成に向け努力する。
―新型コロナウイルスへの対処は。
まずは当社の現場から感染者を出さないことが最優先。現場では作業員の検温を実施し密集の機会を少なくするなどの工夫で感染拡大防止に努めている。
時差出勤やテレワークにも積極的に取り組む。今後も感染拡大防止に努めながら建設業という社会的意義を鑑みて工事を進めたい。
山本徹(やまもと・とおる)1958年4月生まれ、東京都出身。81年3月に北大工学部土木工学科卒業後、鹿島に入社。土木管理本部土木工務部橋梁グループ長や土木管理本部統括技師長などを経て2020年4月から現職。
(北海道建設新聞2020年6月26日付1面より)