老朽化施設更新を着実に
―就任の抱負を。
全国的に共通した課題だが、人口がだんだん減っていく中、給水収益の減少が見込まれる。一方で、過去に整備した施設が一気に老朽化してくるので着実に更新していかなければならない。そのバランスを考えて対応していく必要がある。2015年度から24年度までの10年間の計画である水道ビジョンに沿って、着実に実施していきたい。
―具体的な対応は。
今後、大規模事業の豊平川水道水源水質保全や基幹施設である白川浄水場の改修が重なるなど、事業量が増える時期になる。これをうまく乗り切っていかなければいけない。
対策の一つは事業規模の平準化。併せて、民間への委託など、どう効率化できるかも見据えて考えていく必要がある。
水道ビジョンでは、今後5年間は財政的に対応できる見通し。さらにその後もできる限り現行の料金体系を維持し、事業を運営していきたい。
―本年度から水道ビジョンの後半期に入る。
取り組みの強化では、施設の改修や耐震化を進めていく過程で、北海道胆振東部地震の被害を踏まえ、配水管更新について優先的に整備する地域の見直しを図った。近年の豪雨災害を受け、白川浄水場は浸水対策に取り組む。
利用者サービスの向上面は、冬期間でも検針可能な無線式メーターの設置地域拡大に本年度から着手。総合窓口である電話受付センターも機能強化を図る。
―建設業界へメッセージを。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、工事現場や事業所などで継続して業務を実施してもらっていることに深く感謝したい。やはり基幹的なインフラ、まさにライフラインなので、事業としても着実にやっていく必要がある。感染状況により、工事が続けにくくなることがあれば、今後も相談を受けたい。
―建設業界との連携は。
業界全体の人材育成や技術継承が非常に大きな課題。民間事業者と連携、協力しながら進めていきたい。
これまでの仕事のやり方を見直す視点も大事で、働き方改革の取り組みは当然やっていかなければならない。国内で見ると、高齢化が進み若年人口も減少するなど、労働力不足が見込まれる。ICTなどをどのような部分で活用できるかも研究していく必要がある。
木下淳嗣氏(きのした・じゅんじ)1961年4月8日生まれ、札幌市出身。北大法学部を卒業後、84年に入庁し、水道局に13年間在籍。保健福祉局総務部長、障がい保健福祉担当局長、東区長などを歴任した。前職は保健福祉局長。ドライブが好きで、以前は道の駅巡りを楽しんだが、最近は新型コロナウイルスの影響で自宅で映画を見るなどして過ごす。
(北海道建設新聞2020年6月29日付16面より)