災害対策の強化、充実を
―就任の抱負を。
都市局の使命は安全で快適な建物の整備と住まいづくり。近年、全国的に自然災害が多く、都市局の役割や重要性はますます増している。
北海道胆振東部地震の復旧では都市局として役割を果たしたが、またいつ災害が起こるかは分からないため、対策を強化、充実させていく。
札幌市もいよいよ人口減少に突入し、住宅の数が足りないという時代ではない。高齢者など暮らしやすい住宅にたどり着けない人たちへの支援に力を入れていきたい。
―市が進める土地や建物の耐震化について。
胆振東部地震では、過去に盛り土で土地造成した里塚地区で液状化が発生した。ことしからは大規模盛り土で造成した市内宅地の調査がスタート。迅速に土地の安全性を確認し、状況を市民に発信する予定だ。
民間建築物の木造耐震診断は市民の関心も高く、申し込みは好調だ。ホテルや商業施設の耐震改修は大きな事業となるため、事業者の相談に乗りながら必要なタイミングで必要な支援をしていきたい。
市有建築物の耐震化は順調に進んでいる。天井の脱落対策など残る事業をアクションプランに基づき実施していく。
―更新時期を迎える市有建築物への対応は。
厳しい財政状況の中で建物を更新していくには、事業の平準化が重要となる。建物に応じた更新時期の分散化と、計画的かつ適切な修繕による延命化で、事業の山を崩し平準化させる。
空調など設備の更新は、修繕を怠ると一時的に施設が使用できなくなるなど、利用者や市民に不便を掛ける。時機を逸しないようやっていきたい。
―業界へのメッセージを。
胆振東部地震では、業界の力を借りながら復旧に当たり、あらためて地元の建設業界と手を取り合って、安全安心な街を支えていくことが大切だと認識した。
業界が健全に発展していくには、担い手確保の取り組みや職場環境の充実、改善が重要となる。業界の課題解決に向け、市としても全面的にバックアップしていきたい。
―新型コロナウイルスの影響は。
民間工事の発注は鈍りそうだが、市は予定通り工事を発注し、経済を支えていければ。初めての試練で、手探りの状況が続いているが、業界と一緒に知恵を出し合いながらやっていきたい。
大島佳之氏(おおしま・よしゆき)1961年11月23日生まれ。室蘭工大工学部を卒業し、90年入庁。都市局建築指導部建築安全担当部長、建築部長などを経て現職。趣味はゴルフ、週末は札幌近郊のドライブなどを楽しむ。
(北海道建設新聞2020年6月30日付12面より)