20年度が最終年 地方踏切道改良計画提出へ
国土交通省は、全国で事故が多発したり、遮断時間が長かったりする「開かずの踏切」を改良すべき踏切道に指定し、改良対策を進めている。道内は14カ所が指定されており、計画予定・工事完了が11カ所ある。残り3カ所は岩見沢市などに設置された踏切で、道とJR北海道が対策を検討している。しかし、改正踏切道改良促進法の最終年である2020年度までに対策の完了が難しいことから、国に地方踏切道改良計画を提出する考え。歩行者の安全な通行確保や交通渋滞を緩和するため、早急な対策が求められる。
16年4月1日に施行された改正踏切道改良促進法に基づいたもの。道路を遮断する時間が1時間当たり延べ40分以上になっている踏切や、5年間で2件以上事故が発生している踏切などが対象。全国で1180カ所指定された。指定された踏切は、鉄道会社や自治体が高架化や歩道橋の設置、カラー舗装化などハード・ソフト対策を取る必要がある。20年度までに対策が終わらない場合は、国土交通大臣に地方踏切道改良計画を提出するように義務付けている。
道内は16年度から20年度までに14カ所を指定。総合局・振興局別では、石狩が5カ所、上川、胆振、オホーツク、渡島が各2カ所、空知1カ所という内訳だ。
道内で初めて指定された旭川市のJR石北本線と道道愛別当麻旭川線が交差する踏切は、片側1車線で交通量が多く、渋滞を引き起こしやすい構造になっている。旭川建管はこ線橋を整備する計画で、踏切は除却する。
20年度は札幌市のJR札沼線と交差する市道雁来篠路連絡線、学田線、丸〆線に設置されている踏切3カ所が指定された。3カ所とも市が進める篠路駅周辺地区整備事業の一環となる鉄道高架化により除却する計画。また、17年に指定を受けたJR函館線と市道東9丁目南線に交差する踏切は、苗穂駅周辺地区整備事業に伴い、除却する予定だ。
歩行者の安全な通行を確保するため、歩道設置や道路拡幅を進めているのは5カ所。歩道設置は北見市と函館市の2カ所、歩道設置と道路拡幅は伊達市、遠軽町、白老町の3カ所で、19年度までに北見市、遠軽町、白老町が完了した。残る伊達市は20年度、函館市は21年度の完了を予定している。
士別市のJR宗谷線と市道名越通に交差する踏切は、自動車と歩行者の通行空間を明確にするため、カラー舗装を施す考えで、20年度の完成を目指している。
一方、対策を検討している踏切は、岩見沢市のJR函館線と道道月形幌向線、当別町のJR札沼線と道道岩見沢石狩線、七飯町のJR函館線と道道大野大中山線にそれぞれ交差する3カ所。道とJR北海道は対策を協議中で、改正踏切道改良促進法に基づき、国に地方踏切道改良計画を提出する考え。
道建設部の担当者は「安全な道路環境を確保するため、早急に対応したい」と話している。
(北海道建設新聞2020年7月10日付1面より)