ニセコの魅力はアジア一 新型コロナ影響も成長続けると確信

ベンジャミン・ラム副主席
新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた業界の一つが観光業だ。日本政府が多くの国や地域に対して入国制限を課す事実上の鎖国状態となっている。特に外国人観光客が多いニセコは影響が大きい。倶知安町内の「HANAZONOリゾート」は、香港にある不動産会社「盈科大衍地産(PCPD)」が手掛けている。今後の投資をどう考えているのか、同社の林裕児(ベンジャミン・ラム)副主席にインタビューした。
(聞き手・ジャーナリスト 武田信晃)
―香港資本がニセコに投資する理由を。
過去20年、外国人スキーヤーにとって魅力的な場所となっている。例えば、水分量が8%しかないパウダースノー。年間降雪量は14―15㍍もあり、5月ごろまでスキーを楽しめる場所は非常に珍しい。ニセコに休暇を楽しむ人などのために最高レベルの宿泊施設を備え、年間を通じて世界最高クラスリゾートにするのがわれわれのビジョンで、基本的に富裕層をターゲットにしている。
―準大手ゼネコンのフジタに敷地の一部を売却したが。
PCPDはビジョンや情熱を共有できるパートナーを探しているが、フジタとは同じ考えだった。日本でビジネスをする上で商習慣や文化の違いがあることから、ビジネスをスムーズに進めたいという思いもあった。
―終息が見えない新型コロナウイルス感染症拡大で今後の投資計画の変更、撤退もあり得るのか。
PCPDがニセコに投資をして以来、売り上げは常に高い成長を遂げてきた場所だ。確かに今回はホテル施設の一時閉鎖やスキーリフトの工事にも影響が出たが、ことし後半には少し市場が回復すると期待している。
新型コロナは間違いなく世界中の観光業に影響を与えているが、ニセコとしてのファンダメンタルズは変わっていない。長期的にニセコはこれからもアジアの中で最も魅力的な観光地として成長を続けると確信している。北海道新幹線も通る予定のため、さらなる観光客増加が期待できる。これからも投資を続けたい。
―今後の投資計画は。
これまでにホテル、コンドミニアム、リフトなどに7億米㌦(約750億円)もの投資をした。今後はスキーフィールドの拡大、アジア最長のジップラインの建設、トレッキング施設、カヤックや立ったままのパドルボーディングといったレクリエーションにも力を入れ、年間を通じて楽しめる場所に進化させたい。
ベンジャミン・ラム 香港大でエンジニアリング、英マンチェスタービジネススクールで経営管理を学び、その後、金融機関やデベロッパーで主に財務畑を歩んできた。2004年に盈科大衍地産(PCPD)に最高執行責任者(COO)として加入し、その後、副最高経営責任者(副CEO)や最高財務責任者(CFO)を歴任。現在は同社副主席とグループ・マネジングディレクターを務める。58歳。
(北海道建設新聞2020年7月27日付2面より)
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