深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り アリエルプラン・インテリア設計室 本間純子代表

2020年07月30日 10時00分

本間純子代表

日常生活をスムーズに

 色の情報をどんな色覚の人にも正確に伝えようという「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の取り組みが注目されつつある。インテリアコーディネーターの傍ら、北海道カラーユニバーサルデザイン機構で理事を務めるアリエルプラン・インテリア設計室(本社・札幌)の本間純子代表に最近のインテリアやCUDのことについて聞いた。

 ―近年のインテリア市場について。

 仕事を始めた1989年はバブル終焉(しゅうえん)の時期で、業界では「お風呂は大理石」などといわれていた。今はすっきり路線に変わっていて、ハウスメーカー主導から顧客が設計者を選ぶ時代で、自分好みの住まい方が重要視されている。

 注文服を一度着ると、なかなか既製品ではすっきりしなくなる。体に合っているかどうかの差が着心地に変わってくるため。住宅も同じで、サイズだけでなく色やレイアウトが住む人に合っているのが理想。それをサポートするのが私の仕事だ。

 ―シニア世代へ向けたインテリアの在り方は。

 基本的には住む人に合わせて提案していて、持ち物がどのくらいあるか、空間をどう使うか、依頼者の体調などを考えながら作る。

 色覚の黄変化(おうへんか)もポイントだ。加齢によって色が見分けにくくなる現象。40代ぐらいの人でも明かりの色について「電球色は見えにくいのでやめてほしい」という声を聞く。

 最近は調光・調色機能付きLED照明が身近になり、シーンに合わせ空間内の色を選べる。廊下や玄関は、昼白色と電球色の中間「温白色」という新しい色を勧めている。

 ―CUDに取り組む訳を。

 2002年にテレビの報道番組で色覚バリアフリーの活動を知り、活動主体の伊藤啓東大准教授と岡部正隆東京慈恵医大教授と知り合うことになった。それがきっかけで、北海道カラーユニバーサル機構の立ち上げに参加した。

 CUDに取り組んだからこそ、自分自身が色をどう捉えているかや一般的な色の見方、伝える色と感じる色の仕分け方の発想が身に付いた。

 インテリアや景観の中には、目立ってほしい部分と控えていてほしい所がある。色は何でも使えば良いのではなく、きちんと役割があって、そこに合わせた色を使うことで効果が出てくる。

 ―色弱は身近なもの。

 本人が告白しないだけで、少しだけ困っている人は結構いるはず。以前、換気扇スイッチのオンとオフがちぐはぐで、小さなトラブルになっている家庭と出会った。オンのときは赤くなり、オフのときは消える仕様だったが、色弱の人は付いているか分からない。このためシーソー式のスイッチに切り替えた。

 家族の中で色弱者がいると、こうした小さいストレスが家の中で時々起きる。ストレスを解決して日常生活がスムーズに進めば、別のことに集中できる。放置しておかないことが、とても重要だと思う。

 ―今後の抱負を。

 業界の先駆者で師の三井幸子先生から「インテリアコーディネーターは黒子」と教わった。建物は私の作品ではなく顧客のもので、暮らすためのベース作りという考え方だ。

 先生から教えてもらうことは多かった。これまでに習得したことを次世代に渡したいと思っている。昔に比べ学校が少なくなっていることもあり、若いコーディネーターに技術的なノウハウを伝えたい。

(聞き手・佐藤 匡聡)

 本間純子(ほんま・じゅんこ)図書館司書として館内の作業動線について考えていた頃、インテリアコーディネーターの職業を知り、夜間の専門学校に通いながら転職。北海道カラーユニバーサルデザイン機構の理事として各方面で講演や執筆活動を展開する。


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