緊急経済対策で創設 地元業者の積極的な営業が需要掘り起こし
石狩市は、新型コロナウイルス感染症に関する緊急経済対策事業として創設した住宅リフォーム工事費補助金事業について、予算額の3000万円に達したため、22日に申請を締め切った。6月29日に受け付けを開始し、1カ月に満たない期間での終了に所管する建築住宅課も驚きを隠せない様子。地元業者が個別に展開した積極的な広告がリフォーム需要の掘り起こしにつながったとみられる。市内経済への波及効果は約2億1000万円に達する見込みだ。
同事業は、市内に住む個人の住宅が補助対象で、市内に本店や支店などの拠点を置く事業者の施工が条件。増改築やリフォームなどが、税抜き50万円以上の工事となる場合に工事費の20%、最大20万円を補助する。
新型コロナの影響による「新しい生活様式」を念頭に、住環境の向上や個人消費が落ち込み低迷した地域経済の活性化、地元企業の雇用維持を目的としていた。
工事内容は、住宅内のテレワーク環境整備や増改築、風呂・洗面など水回り、壁紙・床材、外壁・屋根などのリフォームのほか、融雪槽やエアコンの設置などが対象で、複数のメニューを組み合わせることも可能とした。
最終的な受付件数は172件。内訳は、屋根・外壁などの外装が65件で全体の38%、融雪槽が46件、27%、車庫設置といった外構が23件、13%など、住宅外部の工事が85%を占めた。
内部での工事は、キッチン・ユニットバスなど水回りが25件で15%だった。これらの工事により約2億1000万円の波及効果が得られたとしている。
早期受け付け終了の背景には、建築住宅課が石狩市建設事業協会や石狩商工会議所、石狩市不動産ネットワークなどを通じて市内業者へ周知したことや、北洋銀行、北海道銀行、北海道信用金庫といった金融機関の協力がある。また、従来のリフォーム補助対象に含まれない外壁改修や融雪槽設置などメニューに含まれたことも要因の一つだ。
しかし、一番効果が大きかったのは「地元企業が一般紙の折り込みや各戸配布のチラシを使い、積極的に補助金制度を活用した営業を展開したこと」(建築住宅課)と見る。実際、補助金なしでも契約に結び付いているケースもあるという。
(北海道建設新聞2020年7月30日付14面より)