漫画で森林の面白さ伝えたい 道森林管理局平田美紗子さん

2020年08月05日 10時00分

 北海道森林管理局の職員として、自身で描くイラストや漫画で森林や林業の普及に取り組んでいる人がいる。今春同局が発行した冊子「北の森漫画」の作者、平田美紗子さんだ。女性キャラクターが森林の役割や林業、樹木の特徴を解説する冊子は、7月から全道の小中高校へ配布されている。(建設・行政部 三浦 由佳理記者)

自身が描いたキャラクターのパネルと一緒に並ぶ平田さん

 「北の森漫画」は、平田さんがこれまで創作した森林で起こる出来事や生態系を描く「お山ん画」、林業作業や木と暮らしの関わりを記す「人to木」、木々の特徴や文化を描く「リン子の絵日記」などの漫画を冊子にまとめたもの。A4判90㌻、フルカラーで1万部を印刷した。

 平田さんは1978年、札幌市生まれ。アウトドア好きの両親の影響で幼い頃から森林が好きで、絵を描くことも大好きだった。北大農学部森林科学科で樹木や菌類(キノコ)の研究に没頭し大学院に進学。修了後は「森の面白さを伝えたい」という思いから林野庁に入庁。当初の5年間は群馬や静岡で森林管理官を務めた。この頃の現場経験が林業漫画「お山ん画」にも生きている。「ハチに刺されたり、マムシに出会ったりとほぼ私の実体験なんです」と笑う。

 林野庁広報室での勤務時に庁情報誌に「お山ん画」を連載したことが、漫画やイラストを職務に生かしていく転機となった。

 2019年に道森林管理局へ赴任した。現在は総務企画部企画課で事業企画係長として勤務し、テレワークも活用しつつ創作に励む。正確に描くために下絵の段階で専門家に確認を依頼。「例えばウサギのイラストで『跳ぶときは注意しているから耳は必ず前を向く。これは横を向いている』と指摘してもらった」ということも。注意点や特徴を一つずつ自分の中に蓄積して描いている。

 同局で北海道の森林を盛り上げたいと冊子化した『北の森漫画』は、7月から全道の小中高校に2冊ずつ配布されている。「都会の生活では見えづらい、国土の7割を占める森林に関心を持つ第一歩になれば」と期待を込める。

 森林組合や林業大学校から活動PRの際に冊子のイラストを使いたいと依頼があれば協力する。林業関係の仕事が説明しやすくなったという声を聞くと「作って良かったなと思います」とうれしそうに目を輝かせる。

 冊子の予備部数はほぼないが、「北の森漫画」全ページは同局ホームページでも公開中だ。

(北海道建設新聞2020年8月4日付1面より)


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