日本製鉄の鉄鋼スラグ 泊村の海藻再生に貢献

2020年08月06日 15時00分

 日本製鉄は、泊村での鉄鋼スラグ製品「ビバリーユニット」を使った藻場再生プロジェクトについて、ホソメコンブなど海藻の再生を確認したと発表した。地域の水産振興につながるほか、CO₂の吸収・固定作用があることから地球温暖化対策に貢献できるとみている。

 泊村は、過去にウニやアワビなど魚介類が豊富に採れていたが、近年は昆布やワカメなどの海藻類が失われ、磯焼けによって魚介類を育む藻場が減り、水産業に影響が出始めていた。

 日本製鉄は2018年に泊村役場、古宇郡漁業協同組合の3者で藻場再生の実証実験を開始。磯焼けの原因の一つが鉄分不足にあることを突き止め、19年11月にビバリーユニットを海岸線2カ所に合計3㌧埋設した。20年7月の現地調査の結果、埋設部分の海底でホソメコンブやナンブワカメ、褐藻植物などの再生を確認した。

ビバリーユニット埋設によって藻が繁茂した海底の様子

 泊村の高橋鉄徳村長は「これからも藻場の再生事業を続け、海の恵みが多くの人に届くことを期待し、さらには泊村の浅海漁業が発展することを願う」とコメント。古宇郡漁業協同組合の池守力代表理事組合長は「実施箇所での昆布の繁茂状態が良いため、今後に期待を持ちながら引き続き活動を継続したい」と話している。

 日本製鉄は02年の増毛町を皮切りに、全国38カ所で「海の森づくり」と銘打った藻場再生に取り組む。磯焼けの原因は水温の上昇やウニなどの食害のほか、鉄分をはじめとする栄養分の不足と考え、製鉄副産物の鉄鋼スラグと腐植土を混合したビバリーユニットを開発した。道内は日本海側を中心に7カ所で実施している。

(北海道建設新聞2020年8月5日付3面より)


関連キーワード: 後志

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

  • 古垣建設
  • 川崎建設
  • オノデラ

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (3,224)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,517)
交通体系整備を考える会、札幌外周高速道を構想
2023年06月20日 (1,432)
ヒトデ由来成分でカラス対策 建設業界に鳥類忌避塗料...
2019年06月28日 (1,379)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,362)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。